
NHKは、9月23日放送の『未解決事件 File.19「北関東連続幼女誘拐・殺人事件」』を、30日深夜0時35分(10月1日午前0時35分)に再放送することを発表した。
1979年から96年にかけ、5件の幼女誘拐・殺人事件が、北関東の栃木県と群馬県の県境、半径10キロ圏内で相次いで起きた。そのすべてが未解決である。番組によると、今年5月、警察庁は「連続事件は同一犯による犯行の可能性は否定できない」と国会で答弁している。
この連続誘拐・殺人事件の真相を長年追い続け、『殺人犯はそこにいる——隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(新潮社、2016年)を世に出したジャーナリストがいる。元日本テレビ報道局記者の清水潔氏である。今回、同氏は取材班に加わっている。
同一犯の可能性が浮上したきっかけは、1990年に起きた「足利事件」である。
足利事件で証拠とされたのが、1990年に科学警察研究所(科警研)が実用化し導入したDNA型鑑定「MCT118型法」と「123ラダーマーカー」による鑑定結果である。行方不明となった幼女が着ていた衣服に付着していた精液と菅家利和さんのDNA型が一致したとして、菅家さんは無期懲役の判決を受けた。しかし、最新のDNA型鑑定による再鑑定によって、DNA型が一致しないことが明らかとなり、菅家さんは2010年3月、再審で無罪になった。
番組は、さらに足利事件と同じDNA型鑑定で死刑判決を下された福岡県の飯塚事件のDNA型鑑定の疑惑へと発展していく。
飯塚事件の第1次再審では、上記のMCT118型鑑定の証明力などが争点となった。
第1次再審では、DNA型鑑定のネガフィルムを、専門業者に依頼して精密なデジカメで撮影し、筑波大学の本田克也教授(当時)に鑑定を依頼した。そこでは、証拠隠滅罪等の証拠変造にあたる、改ざんが行われていたことが判明した。弁護団は、これに基づいて再審請求した。
しかし、裁判所は、改ざんを不問に付したまま、MCT118型鑑定法の欠陥を持ち出してきて、「現時点では、同鑑定は証明力が減殺されている」と判断しただけである。改ざんされたMCT118型鑑定について「証拠能力なし」と判断すれば、再審開始の新証拠になったはずである。その後、即時抗告審、特別抗告審も、再審請求を認めなかった。
番組は綿密な取材によって、北関東連続幼女誘拐・殺人事件の真相に迫るものであるが、同時に足利事件、そして現在再審請求中である飯塚事件でのDNA型鑑定の「闇」をも浮彫りする。2022年に放映されたBS1スペシャル『正義の行方~飯塚事件 30年後の迷宮』(後に映画化される)に匹敵するドキュメントである。
飯塚事件の再審弁護団は、番組の中で明らかになった DNA型を示すネガフィルムに関する分析結果を第3次再審請求に結びつけたいと準備をすすめている。
(2026年09月30日公開)