連載 裁判所書記官が見た刑事弁護

裁判所書記官が見た刑事法廷 第14回

裁判員IT機器の調達

中村圭一 元裁判所書記官


 最高裁判所では、裁判員裁判の際に使用するいわゆる「裁判員IT機器」の調達の担当もしました。裁判員裁判員の法廷にある大型モニターや書画カメラなどを、裁判員裁判実施庁60庁分一斉に調達する仕事です。当初の調達から5年のリースとなっていたので、新たに機器の構成等を見直してリースをし直す必要がありました。

 ところが、裁判員裁判がスタートしてまだ3年しか経っていないときで、刑事局内では、私を含め、実際の裁判員裁判を経験したことがない人たちばかりが担当しているのです。普通に考えれば、扱ったこともない機器の改良を担当するという作業はなかなかのハードですが、「みんなそんなものだから」と上司になだめられて担当している状態でした。

 さすがに不安なので、近くの裁判所に実際の裁判員IT機器を見に行ったりさせてもらいましたが、一度説明を受けたくらいで使い勝手がわかるわけもなく、とりあえず、全国の裁判所にアンケートを実施して使い勝手や改良の希望などを訪ねるなど工夫を凝らし、何と裁判員IT機器更新の調達をしました。

 中でも、裁判員法廷にあるプリンタがインクジェットだったため、めったに使用しないプリンタが、たまに使う度に目詰まりを起こすという不具合はひどいと思ったので、意地でもレーザープリンタに変えなければいけないと思いました。その点だけは他の担当部署を粘り強く説得して、了承してもらったことを覚えています。

 ちなみに、後に自分で裁判員裁判を担当するようになった際、当然ですが、こういう点が改良されたら使いやすいのにと思うことが多々ありました。人事上難しい点はあるとは思いますが、やはりできる限り一度担当した職務につ……

(2023年06月23日公開)


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