連載 裁判所書記官が見た刑事弁護

裁判所書記官が見た刑事法廷 第16回

裁判員パンフレットの調達

中村圭一 元裁判所書記官


 最高裁判所勤務時には、裁判員に関するパンフレットの調達も担当していました。薄い冊子のチラシのようなもの、わかりやすく漫画で書かれたもの、しっかりと記載された厚い冊子のものなど、用途によって使い分けられるように複数のパンフレットを用意する必要がありました。

 毎年パンフレットを調達する際に、新しいデータに変更したり、これまでの記載のままでよいかを確認したり……と訂正を加えることもありますが、それほど大きな変更を加えることはありません。ただ、毎年発行されるため、どの年のものか一目でわかるようにパンフレット表紙の帯の色を変える必要がありました。ルールがあるわけではないので、私は、自分の好きなプロ野球チームの色にしたり、自分の出身大学の色合いにしたり……と勝手に決めていましたが、10数年経った今ではどんな色にしているんでしょうね。おそらく、一周回って以前使ったのと同じ色を使うことになるのでしょう。

 パンフレットの調達の際に驚いたエピソードがあります。どのくらいの量のパンフレットを調達するかについては、大まかに我々で決めて、別の局にお伺いを立てることになるのですが、ある年とある年で全く違った対応をされたのです。最高裁勤務1年目には、財務省から取ってきた予算よりパンフレットを作成する額が少なすぎるため、翌年の予算を確保するために、もっとたくさんパンフレットを作成しろ、と言われました。刑事局としては、多く作成しても配布できず在庫を抱えることになるため断ったのですが、結局押し切られてしまいました。

 ところが、最高裁勤務3年目には、もちろん相手の局の担当者は変わっているのですが、これまでの使用実績やそこから予想される使用……

(2023年08月18日公開)


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