連載 困ったときの鑑定──裁判からトラブル解決まで<br>第5回

連載 困ったときの鑑定──裁判からトラブル解決まで
第5回

モノに着いた指紋はいつまで残っているのか!?

齋藤健吾 株式会社齋藤鑑識証明研究所代表


 みなさま、こんにちは! 齋藤鑑識証明研究所の齋藤健吾です。

 今回のテーマは、モノに付着した指紋はいつまで残っているのか? です。実は、弊社のホームページで鑑識に関するQ&Aを掲載しているのですが、この指紋の残留期間に関する質問が常にアクセス数の1位で、気になっている方も多いのではないかと思います。

 今回は、まさにこの指紋の残留期間がカギとなって解決までたどりつけた事例を紹介していきます。

1 事案の発生

 とあるオフィスで起こった事案です。多くの会社がフロアーを借りて入居しているビルで起こりました。ある日、ビル清掃員の方が女性トイレを掃除していると、トイレ便器の後ろ側に何か違和感を憶えました。近づいてみると、白い小さな箱のようなモノが便器に張り付いており、その箱を空けてみると小型カメラが発見されました。驚いた清掃員は、すぐにビル清掃の上司に報告し、最終的にビルを所有しているオーナー会社に報告がなされました。

2 犯人の絞り込み

 それを聞いたオーナーの会社は、この事態を重く受け止め、事案の解決に動きました。  

 早速、小型カメラが発見された階のフロアマップを確認すると、1社しか入居していませんでした。トイレにカメラを仕掛けたのは、その会社の従業員であると目星をつけ、その会社の社長に事案を説明すると、自分の会社に盗撮をする者がいることに酷くショックを受けておられました。そして、絶対に犯人を見つけ出すことをビルのオーナー会社と約束しました。

 社長は、役員数名を集めて、事の経過を話し、犯人の可能性がある人物がいないかたずねましたが、特に心当たりのある人物はいませんでした。しかし、このまま放置していても必ず、またカメラは仕掛けられてしまうと思い、徹底的に調査することを決意しました。

3 犯人特定の作戦

 社長は、犯人を特定するにあたり警察だったらどのように調査をするかを考え、指紋で特定する方法を思いつきました。

 まずは、みんなに動揺が起こることを覚悟して、女性トイレから小型カメラが発見されたことを全員の前で話し、犯人が2度とカメラを仕掛けられない状況を作りました。その上で全社員から指紋を提供してほしいとお願いをしました。通常であれば、女性トイレからカメラが発見されたので、男性従業員だけ指紋をもらうことを考えましたが、もしかしたら女性従業員に協力者がいる場合もあるし、指紋の提供は全従業員に対して平等に行いたいため、全員にお願いしました。

 すると、女性従業員はすぐに犯人を特定してほしい気持ちが強く、積極的に指紋を提供してくれました。

4 指紋鑑定の流れ

 我々は、社長さんから指紋鑑定のご依頼をいただき、鑑定の進め方を一緒に打ち合わせしました。今回の鑑定の目的は、女性トイレに小型カメラを設置した人物を特定することです。

 まとめると、今回の指紋は以下のような流れとなります。

(2024年01月31日公開)


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