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連載 裁判所書記官が見た刑事弁護

裁判所書記官が見た刑事法廷 第6回

令状請求と勾留請求

中村圭一 元裁判所書記官

 「令状請求」や「勾留請求」については、弁護人が実際に行うわけではないので、意外と弁護人には馴染みが少ないのではないでしょうか? ですから、なかなかその状況を把握することが難しいと思います。そこで、これらの請求の実情等について触れてみることにしました。

 これらの請求については、大規模庁では、「令状係」という専門の係で処理するのが原則になります。大規模庁になると、ひっきりなしに令状請求が来ることが多いですし、勾留請求もかなり多いです。もちろん日によって請求数が違うので、事件処理数には波があり、余裕がある日もないわけではないですが、ほぼ一日中忙しく、あまりの繁忙さに他の部署から応援に来たりすることも結構あります。

 一方で、夜間や休日については、「当直」で処理をすることになります。裁判官も職員も当番制で当直に備えることになるのですが、大規模庁で運が悪いと、夜中じゅうひっきりなしに令状請求が来て、全く眠れなかったということも結構あります。また、一日の勾留請求の数が一定数以上になると、応援のために待機している裁判官や職員が手伝いに行くこともあります(この「当直」の実情については、拙著『じつは裁判所ってこんな所なんです!』〔ごま書房新社〕98頁で詳しく触れているので、よければご覧ください)。

 令状請求や勾留請求については、傍から書記官として見ていて、保釈ほどではないものの、請求を認めるかどうかについて、裁判官によるバラツキがかなりあると感じていました。ほぼ全て認める傾向の裁判官もいますが、一方で、慎重に、警察官に直接説明を求めるような裁判官もいます。その際、警察官の説明がイマイチ要領を得ていないことも割と多く、請求が却下になったことも、事実上の取下げを促すこともありました。 これらの請求に弁護人が関わるとすれば、勾留請求された場合に備えて、事前に何らかの「上申書」を出しておく例が近年多かったような気がします。しかし、この上申書をどのように扱うかについては、裁判官によってもっとバラツキがありましたが、裁判官によっては、意外と有効な場合もあるような気がします。

(2022年09月16日公開) 


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