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連載 裁判所書記官が見た刑事弁護

裁判所書記官が見た刑事法廷 第8回

保釈請求と準抗告

中村圭一 元裁判所書記官

 「保釈請求」と「準抗告」をなぜ並列に同じテーマにしているのだろう、とお思いになられたのではないでしょうか? 共通点は、主に被疑者や被告人等の「身柄」(最近は、弁護人の間では、被疑者・被告人は刑事手続の中では対等な当事者であるという意味をこめて、「身柄拘束」を「身体拘束」という表現にかえて使うようになっている〔刑訴法39条〕)に関する申立てということになりますが、書記官という立場からは、「身柄」が関わり、事件処理等に急を要する場合が多いため、専ら書記官が嫌だと感じる分野ということで一括りにしてみました(笑)。

 なぜ嫌だと感じるかと言えば、「身柄」に関するため、申立てが夕方であっても当日中に裁判官が判断をすると言えば、その判断が終わり、一連の事務処理が終わるまでは退庁することができないことも多いからです。例えば、刑事の担当者と飲み会をする際は、「今日は準抗告の当番だから、申立てがなかったら時間どおり行けるよ。」とか「保釈請求が来なかったらね。」などという言葉が合言葉のようになっているくらいです。

 このような「身柄」に関する申立てについては、裁判所がボールを持っている時間を極力少なくするために、受付等の処理が終わり次第、まずは早急に検察庁に「求意見書」を投げることになります。その後は、裁判官が最終判断するまで別の仕事等をしながら待機することになりますが、特に、保釈の請求が認められるような場合は、会計課(出納課)へ保釈金を現金納付するために同課の職員に来てもらったり、保釈金の納付確認後、速やかに検察庁へ「保釈保証金納付通知書」を渡したりする必要があります。このように、書記官は、「身柄」事件の処理のために迅速性をかなり意識しながら仕事をする必要があります。

 ちなみに、これらの「身柄」の申立てについては、庁の決まりにも左右されますが、勤務終了時間である17時の前に申立てがされるかどうかによって、どの部署や裁判官や職員が担当するかも変わってきます。例えば、準抗告の申立ての場合は、17時前までだとその日の担当部の担当書記官が担当しますが、17時以降だと当直員が担当するなど大きく事情が変わってくるのです。

 このように裁判所としては負担が大きいので、正直なところ、「申立てを乱発されるのはちょっと……。」と感じることも多かったのですが、それでも被疑者や被告人の「身柄」に関する重要な申立てであるので、その対応にしっかり取り組んだ記憶があります。

(2022年11月22日公開) 


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