連載 裁判所書記官が見た刑事弁護

裁判所書記官が見た刑事法廷 第18回

裁判員裁判の裏側

中村圭一 元裁判所書記官


 裁判員裁判がスタートして十数年が経過しましたが、概ね順調に実施されているのでないかと感じます。ただ、公判前整理手続が長過ぎではないか、裁判員のメンタルヘルス対策は十分なのか、裁判員裁判の対象事件は現在のままでよいのか、死刑にするという重い判断を一般市民である裁判員にさせてもよいのか等、今後検討していかなければならない課題は多いでしょう。

 裁判員裁判を経験された弁護士の先生方もたくさんいらっしゃると思いますので、今回は、弁護人があまり見られない、裁判員裁判の裏側の部分についてお話しできればと思います。とはいうものの、裁判員は、法廷以外では裁判官と評議をしていることがほとんどであるため、書記官といえども、評議には全く関与できませんから、どのようなことが行われているのか、裁判官等に聞いた内容になります。

 まず、評議の中では、裁判官がかなりわかりやすく、事案の概要やどのような論点があるのかについて、裁判員に説明をしているようです。その上で、もしこういう判断をしたらこのような結論になるなどについても詳しく説明し、量刑についても、「量刑検索システム」を利用してわかりやすく説明しているようです。このような裁判官の努力もあり、裁判員を終えた後のアンケートで「何を言っているのかわからなかった」などと書いている人は見たことがなく、9割以上の裁判員経験者が、「裁判員をやってよかった」と回答しているほどです。

 また、裁判員はお茶やコーヒーやお菓子などを自由に飲食することができますが、それらは、裁判官らの自腹で用意されています。まさに至れり尽くせりの状態ですね。希望する裁判員にはお弁当の注文を手配しますし(このお金は裁判員が負……

(2023年10月10日公開)


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