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『オアシス・インタビュー』第4回

【後編】地域との共生を目指す官民協働運営の刑務所

美祢社会復帰促進センターの取組み


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8 市民や法律専門家に望むこと

—— 今回のインタビューで私自身、かなり美祢社会復帰センターの仕事内容を理解できました、最後に、このサイトを見るのは法律関係の人も多いので、そういう法律専門家の人たちに望むことはありますか。

手塚 法律家も刑務所を見に来る人が結構多くなりましたけど、刑務所でどんなことをやっているのかを実際に見てもらいたいというのが一つあります。それと、先ほどから言いましたけど、再犯防止が最大の命題ですので、これをどうにかしなければいけないと、われわれは思っています。ただ、刑務所だけでは何も変わりません。関係機関との連携、一般市民の協力がなければ、これを推し進めることはできないと思います。

 いろいろやってきたのですけど、やっぱり仕事を与えるだけでは不十分です。仕事を通して人と人とのつながりができなければ、仕事を続けることができないです。ですから、そういう面では、社会内で就労と教育の場を設けなければ、彼らは立ち直っていかないのではないかと思います。ですから、彼らを社会的排除、孤立、貧困から守るためには、仕事と教育、両方が社会内にないと難しいのではないかと思います。

 社会の受け入れ態勢を根本的に変えなければいけないので、そこを法曹界の人たちにもお手伝いというか、今も、行っている人は行っていますけど、さらに援助してもらいたいと思います。

—— もっと広げて、一般の市民に対する要望などはありますか。

手塚 一般市民は、刑務所は特別な人間が入っていると思っています。殺人、強盗だとか、強姦だとか、そういうことをしている人間ばかりが刑務所に入っていると思っています。そういう人ばかりではなく、あなたの隣にいる人が、明日には、もしかすると刑務所に入っているかもしれない。刑務所に入っているのは普通の人なのです。

 美祢社会復帰促進センターでは、最初、誘致反対でむしろ旗が立ちました。ところが、今は、「普通の人が入っているじゃないか」という感覚になっています。それはなぜかというと、刑務所の中に入って、見てもらっているからです。先ほど言ったように、いろいろなボランティア活動とかを見てもらって、それが施設理解に非常に大きな力となっています。

 私がセンター長として講演や説明会に回ったから、みんな信用するわけではなく、実際に見てもらうと安心するのではないか。そうすると、受刑者の教育や社会復帰に協力してやりたいという気持ちになると思います。

手塚文哉氏-中央監視席にて
手塚文哉氏(2019年11月24日、旧奈良少年刑務所の2階にある中央監視所にて)。

(2020年06月01日公開) 

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用語解説

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