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【第5回】国選で受任していた被疑者が勾留満期で釈放された後、再逮捕されました。再逮捕の直後から弁護活動を行うことはできますか。


(注:本稿では、逮捕・勾留されている被疑者が、釈放後、別件で再び逮捕され、再び勾留されることを、便宜上「再逮捕/再勾留」と表記しています)

【解説1】 国選弁護人を務めていた被疑者が釈放された場合、国選弁護人の地位は当然に失われます。したがって、再逮捕の直後から弁護活動を行うには私選での受任が必要です。

 再逮捕された被疑者が勾留された場合には、引き続き被疑者国選弁護人に就任することはできますが、再逮捕から被疑者国選弁護人就任までには空白の期間が生じてしまいます。そのため、再逮捕の直後から勾留阻止のための弁護活動を行おうとする場合には、刑事被疑者弁護援助制度(通称「勾留前援助」)を利用するにしても、利用しないにしても、私選で受任するしかありません。

【解説2】 それでは、勾留前援助の利用および勾留前援助から被疑者国選への切替えに必要な手続とはどんなものでしょうか。その留意点を解説します。

 再逮捕直後から私選で受任する場合、被疑者の資力が乏しい等の事情があるときには、勾留前援助を利用することができます。当番出動が契機でない場合であっても、勾留前援助を利用することができます。

 この場合の勾留前援助の申込書の作成や、弁選の提出等は、通常の当番出動を契機とした勾留前援助の利用と同様です(『こんなときどうする 刑事弁護の知恵袋』Q6〔12頁〕参照)。

 逮捕段階で私選で受任し、その後に勾留されたときに被疑者国選に切り替えるには、勾留前援助を利用していたか否かを問わず、以下の手続が必要になります(前掲書Q6に詳細を記載しています)。

 1.  辞任届を検察庁に提出するとともに、辞任届の写しに受領印をもらう。
 2. その辞任届の写しと「国選弁護人選任請求書・資力申告書」、および下記「3」の「国選弁護人の選任に関する要望書」の写しを裁判所の令状部に提出する。
 3.  「2」と同時ないし事前に、「国選弁護人の選任に関する要望書」を法テラスにファックスしておく。

【解説3】 再逮捕後の事件については、委任の範囲を被疑者勾留期間満了までとする、勾留前援助を利用しない純粋な私選(以下、便宜的に「純粋私選」といいます)として受任することも、もちろん可能です。

 従前の国選事件と再逮捕に係る事件は別の事件であるため、純粋私選で受任しても、私選慫慂(弁護士職務基本規程49条2項本文1)参照)は問題とならないと考えます。ただし、純粋私選として受任する場合、弁護士報酬を現実に支払ってもらえるか否かは別の問題です。

 しかしながら、再逮捕後、勾留前援助を利用しないで純粋私選として受任することには、以下のようなリスクがつきまといます。

 たとえば、再逮捕に係る事件が公訴提起された場合、その後に弁護人を辞任しても、現在の運用では、あなたが被告人国選弁護人に選任されることはできません(この運用の当否については、本稿では立ち入りません)。

 さらに、3回目、4回目と再逮捕が続く可能性がありますが、その場合には、そのすべてを純粋私選で受任できるのか、という問題も生じ得ます。弁護士費用等の事情から3回目ないし4回目以降の再逮捕について純粋私選で受任することが見込めない場合、もし今回(2回目)の再逮捕に係る事件について、釈放された段階で私選弁護人を辞任したとしても、3回目以降の再逮捕に係る事件について、あなたが再び被疑者国選弁護人に選任される保障はありません。

 勾留前援助から被疑者国選への切替えの手続が煩雑だからといって、勾留前援助を利用しないで純粋私選として受任してしまうと前述のようにその後に厄介な問題が生じる危険があります。

 なお、純粋私選ではなく勾留前援助で受任した後、被疑者国選に切り替えず、そのまま私選を継続することも可能です。ただし、勾留確定後は、勾留前援助制度による報酬は発生しません。

 結局、設問のケースでは、勾留前援助を利用した上で私選受任し、勾留確定後は被疑者国選に切り替えることがベターであると思われます。

注/用語解説   [ + ]

(2021年10月18日公開) 


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