執筆者:村岡美奈 監修者:藤田正隆

【第1回】黙秘権って、どうやって行使するの?


はじめまして。弁護士歴もようやく10年目に入り、私自身が経験したこと、人から聞いたことも含め、自分が知識や情報を教えていただくだけではなく、そろそろ発信する側にもならないといけないと思う今日この頃です。実際の事件に基づいてフィクションも交え、一般の方にも読みやすいものにしたいと思います。よろしくお願いします。

なお、事件は千差万別ですから、ここで述べることがすべて当てはまるということはありません。受任している弁護士がいる場合は、その弁護士と十分相談して、対処してください。

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普段は各地の法律事務所で刑事弁護活動にまい進する弁護士らが、全国の被疑者、被疑者家族、新人弁護士らなどの、SOSにこたえて、いまさら恥ずかしくて聞けない素朴な刑事弁護の質問に答えていきます。

とある警察留置場の接見室にて

被疑者「わざわざ接見に来てもらってありがとうございます」

弁護人「SOSがあれば全国どこにでも参ります。早速ですが今日の疑問点は何でしょうか」

被疑者「はい、逮捕されてすぐに来てくれた当番弁護士がいるのですが、事件の概要を話したら、とりあえず黙秘したほうがいい、とアドバイスされました。どうやって黙秘したらいいのでしょうか」

弁護人「黙秘権は憲法上の権利(38条)ですので、行使するのに、一切の躊躇はいりません。取調官にあなたの情報を提供する必要がない事案なら、黙秘は最大の防御ですからね。まずは、何を聞かれても『黙秘します』と答えるのが基本ですね」

被疑者「何を聞かれてもですか」

弁護人「そうです。何の罪名ですか。共犯者はいますか」

被疑者「オレオレ詐欺です。共犯は、自分が直接知っている人が2人で、電話で話しただけの人が3人います」

弁護人「それなら、例えば、詐欺と分かっていたのかどうか、と質問されたら、『黙秘します』、共犯者のことを聞かれても、『黙秘します』と答えればいいですよ、一度練習してみますか」

(2018年09月18日公開)


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