静岡地方裁判所は2024年9月26日、清水こがね味噌事件(袴田事件)について、死刑判決を受けていた袴田巖さんに対して再審無罪判決を下した。無罪判決は警察、検察の連携した捜査によって、無実の袴田さんを死刑台に送ろうとした行為を断罪したものである。にもかかわらず、静岡県警本部長(2024年10月21日)や静岡地検検事正(2024 年11月27日)の「謝罪」は、深々と頭を下げただけの事務的、形式的なもので、袴田さんの心には到底届かない「謝罪」であった。
一方、マスメディアでは、無罪判決翌日の2024年9月27日付朝刊で東京新聞、中日新聞、毎日新聞が、さらに無罪判決確定直前の10月7日付朝刊で静岡新聞と朝日新聞が、そして、無罪判決確定から2カ月以上経過した12月24日付朝刊で読売新聞が、それぞれ「おわび」記事を掲載した。
「おわび」記事掲載のなかった産経新聞には、2024年12月30日付で会から要請書を送り、また当時の地元テレビ局のNHK静岡支局及びSBS静岡放送あて2024年12月31日付で、袴田さんの任意取調べ時及び逮捕時から起訴までの報道内容について問い合わせを行った。
私たちは、清水こがね味噌事件発生当時の袴田さんに対する精神障碍者差別に基づく専門家のコメント記事について、2021年2月以降掲載5紙(東京・中日・静岡・読売・毎日各新聞社)に対して謝罪説明を求めてきた。現在も「差別記事の検証」を続けている。その「続編」の公開も考えているが、以下では、今回の「おわび」記事について検証した。なお、各紙の「おわび」記事全文は、記事をデータ化したものにリンクする。
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(2025年05月29日公開)