こんにちは! 株式会社齋藤鑑識証明研究所代表の齋藤健吾です。
今回のテーマは「指紋から無実の証明はできるのか?」です。第13回で「指紋から無実の証明ができる」ということを書きました。事件の現場に犯人の指紋が存在していて、その指紋と一致しなければ、その人は無実の証明ができるというお話でした。今回は少し前提条件が異なり、「事件の現場に犯人の指紋が一切残されていなかった場合、犯人とされている人の無実を証明できるかどうか?」をテーマにします。
では、詳しく解説していきます。
1 指紋の不存在とは指紋の不存在とは、犯行の状況を考えると、現場に犯人の指紋が残っているはずなのに、実際は指紋が残っていない。そのため、事件の前提ないし被告人の自供に合理的疑いがあるのではないかという考え方です。
2 指紋は必ず残るのか?モノに触ったら指紋が必ず残るのか? 答えは、必ず指紋が残るわけではありません。たとえば、ガラスコップに触れても、コップが濡れていたり、表面に凹凸があったり、手が乾燥していた場合は、指紋が残りにくくなります。また、特に指紋が残りにくい条件がなくても、偶然指紋が残らないこともあります。
このように、モノに触ったからといって必ず指紋が残るわけではありません。しかし、指紋が残りやすい条件がそろっていれば、必ずしも100%指紋が残るとは言えませんが、常識的に考えて指紋が残っていてもおかしくないと言えます。
3 指紋が残りやすい条件指紋が残りやすいのは、たとえば以下のような場合です。
〇指紋工作をしていないか……
会員登録(無料)が必要です
これより先は会員専用コンテンツです。ログインまたは会員登録が必要です。
(2025年07月22日公開)