冤罪(誤判)と再審法改正の最前線 第17回

冤罪(誤判)と再審法改正の最前線 第17回

法制審議会─刑事法(再審関係)部会のリアル⑩

第5回会議(8月7日)[その5]

鴨志田祐美 日弁連再審法改正推進室長


【「再審請求審における裁判官の除斥・忌避」について】(20分)

 この論点については、裁判官に直接かかわる問題だからか、まず江口委員が発言した。発言の要旨は以下のとおりである。

江口委員:除斥・忌避との関係では、二つの場面を考える必要がある。一つ目は、確定審と再審請求審との関係、二つ目は、第1次再審請求審と第2次再審請求審のように累次の再審請求がある場合に、一度でも再審請求審に関与した場合に以降の再審請求に関与できなくなるかという点である。結論として、いずれの場合についても規律を設けることには慎重であるべき。

 まず、確定審と再審請求審の関係について、再審請求審は刑訴法第435条の各号に規定された再審事由の存否を審判対象とした手続であって、確定判決における有罪の言渡しの根拠となった事実認定そのものを再評価するものではない。すなわち再審請求審は、判決が確定して確定力が生じていることを前提として、その確定力を破るに足りる事情や証拠の存否を審査するものである。これに対して、控訴審や上告審というのは、原則として同一資料を前提とした、未確定の原判決のレビューであり、再審請求審と上告審では審判対象の点でも、その判断資料の点でも、質的な違いがある。

 例えば、同条第6号の再審事由について、いわゆる証拠の新規性の判断については、確……

(2025年09月21日公開)


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