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連載 裁判所書記官が見た刑事弁護

裁判所書記官が見た刑事法廷 第2回

起訴状謄本の送達

中村圭一 元裁判所書記官

 裁判所は、遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならないと規定されているため(刑訴法271条1項)、裁判所は、起訴状の審査を経た後、起訴状の謄本を被告人へ特別送達します。しかし、もし、起訴時から2か月以内に起訴状の謄本が送達されなかった場合は、遡って効力を失うことになり(刑訴法271条2項)、その場合は公訴棄却されることになります(刑訴法339条1項1号)。ごくまれに、在宅の被告人への送達ができず、公訴棄却となることもありますが、昨年、身柄を拘束された被告人への送達ができず、公訴棄却となるという珍しい事案が発生しました。

 具体的には、被告人が身柄を拘束されている場合、その施設の長を受送達者として送達することになり(例えば、受送達者は「○○警察署長」や「○○拘置所長」となります)、実際には、施設の担当者が受け取り、その後被告人の手元にわたることになります。しかし、本件においては、施設の担当者から被告人への手渡しを失念し被告人の手に渡らなかったようです。なかなか珍しい事案だと思いますが、弁護人として、裁判の打合せ等で接見する際に、「起訴状は受け取りましたか?」等の確認をしていただくことができていれば、防ぐことができたのではないかとも思えます。

 なお、近年は、被疑者段階から弁護人が選任されていることが多いため、裁判所が、起訴と同時に弁護人を把握している場合は、すぐに第1回期日の調整を弁護人・検察官と行い、起訴状謄本とともに、「公判期日召喚状」を送達することが通常となっている状況にあります。

 関連して、期日の指定について触れておきます。「裁判所は、大体どれくらい先に第1回公判期日を入れることにしているのだろう?」とお思いかもしれませんが、法廷の使用具合、事件数等により違いがあるため、庁によって運用等が異なることになると思います。もちろん、裁判所としては、被告人の利益のためにも、極力早い期日を入れたいと考えていることがほとんどだと思いますが、起訴後あまり早い時期に期日を入れると、検察庁での証拠の開示が間に合わなくなったり期間の短さから弁護活動が不十分になったりするという事情もあります。

 一方で、起訴から2か月を超えると勾留更新決定が必要となるため、再度の勾留更新をしなくてもいいようにと考えて期日を指定している例もあり、それらを踏まえると、概ね起訴から約4週間から約6週間後に期日が指定されることが多いのが実情ではないかと思います。

(2022年05月25日公開) 


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