えん罪今市事件・勝又拓哉さんを守る会、クラウドファンディング/マンスリーサポーターを無期限で募集


 

 2020年3月に最高裁で有罪(無期懲役)が確定した今市事件は、再審請求の予定で、弁護団がその準備を着々と進めている。

 えん罪今市事件・勝又拓哉さんを守る会は、証拠調査費用(現場再現検証、有罪の決め手とされた手紙の心理学鑑定)、その他専門家への意見書作成や再審請求の新証拠の獲得・旧証拠の分析の活動費用などに多額の費用がかかるため、「今市事件はえん罪です!再審請求」とクラウドファンディングをはじめ、マンスリーサポーターを無期限で募集している(弁護士報酬には使用しない)。

 今市事件は、2005年12月1日、栃木県今市市(現日光市)の小学1年生の女児が行方不明となり、翌日、茨城県の山林で、遺体となって発見されたもの。

 発生から約8年後の2014年1月、警察は勝又拓哉さん(台湾生まれ、当時31歳)を商標法違反(偽ブランド品の販売等)、銃刀法違反(ナイフの収集)の疑いで逮捕。同年2月から商標法違反の勾留を利用して殺人の取調べをおこない、殺人の自白をさせ起訴。

 2016年4月8日、一審の宇都宮地裁は、女児を拉致してわいせつ行為をし、ナイフで刺して殺害したあと遺体を山林に遺棄したとして、無期懲役の判決を下した。

 二審の東京高裁は、2018年8月2日、自白は信用できないとして一審判決を破棄した。しかし、殺害日時や場所を広げた訴因変更を認めた上で、情況証拠によって犯行を認められるとして、あらためて無期懲役判決を出した。その後、最高裁は、2020年3月4日、上告を棄却し、刑が確定。勝又拓哉さんは、現在、千葉刑務所に収監されている。

 クラウドファンディングの挨拶文で、井上隆夫(えん罪今市事件・勝又拓哉さんを守る会会長)は、つぎのように書いている。

 「2020年3月4日の最高裁で上告棄却の数日前、守る会は、現地調査を行う予定でした。現地調査には、九州大学の豊崎七絵教授も参加される予定で、第1回の現地調査を上回る大きな活動ができるものと期待していました。ところが、コロナ禍の影響でやむを得ず中止にしました。

 3月5日、私たちの仲間が、様子を伺いに勝又さんの面会に行ったら上告棄却の決定が届いていると言われました。弁護団への通知よりも先に、上告棄却の連絡が勝又さんに届き、面会の場で突然知らされ衝撃的でした。

 3月中に、弁護団は、解散しました。コロナ禍で、集会も開くことができなかったので、これまで闘ってくれた弁護団に、オープンの場で御礼を言う機会すらありませんでした。弁護団が解散しても、当事者から『支援を求める声』があり続ける限り、守る会を解散させることはしませんでした。

 現地調査ができずに最高裁棄却となったときには、無力であると感じるばかりか、活動ができないことに下を向いていました。しかし、守る会は、コロナを経験したことで、桁違いに発信力を強めるとともに、宇都宮市内では毎月街宣行動を行い、全国的にも地元でも、風化させることなく再審弁護団を結成させるところまで来ました。

 今後も、頑張っていますので、引き続き、今市事件を支援いただけるとうれしく思います」。

(2025年08月12日公開)


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