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きみは、人質司法の本当のおそろしさを知らない(中)

被疑者の心理学(後編)

江口大和(えぐち・やまと)

きみは、人質司法の本当のおそろしさを知らない(中)

「人質司法」に巻き込まれた被疑者・被告人はどのような心理状態に陥るか──接見禁止付きで、弁護人以外、家族や友人と会うこともできない独房に勾留され、孤立無援の状態で取調べを受けさせられるとき、被疑者はどのような心理状態になるのか。250日勾留された筆者が、勾留中に独房で記したメモに基づいて、「人質司法」の本当のおそろしさを明らかにする(写真=横浜拘置支所〔横浜市港南区、2024年2月3日撮影〕)


 前回に続き、「人質司法に巻き込まれた被疑者・被告人はどのような心理状態に陥るのか」について、逮捕・勾留中につけていたメモをもとに、時系列で解説します。今回は、起訴されて以降の期間を扱います。起訴後も保釈されず、しかし取調官という明確な敵が見えなくなったとき、被告人はどのような心理状態に陥るのでしょうか。

筆者が独房で記したメモの一部分

5 起訴翌日〜起訴後150日まで

【起訴後翌日】

 起訴された翌日(11月6日)の朝は、いわく言いがたい感覚だった。

 ① 大変な闘いを改めて続けてゆかなければならないという負担感、
 ② もし負けたら実刑になるかもしれないという重苦しさ、
 ③ 外の生活に戻れる日が遠のいてしまったというさびしさ、そして、
 ④ 何か新しい自分になってしまったという不思議な感覚もあった。

 とりあえず、これからの日々をどのように過ごしてゆくべきかということについて、次のように考えをまとめた。

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(2024年03月25日公開)


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