『オアシス・インタビュー』第2回笹倉香奈氏に聞く

【2/3】えん罪救済センターとSBS検証プロジェクト は何を目指すのか

実務家と研究者との連携

インタビューアー:小石勝朗(フリーライター)


2 アメリカのイノセンス・プロジェクト アメリカ留学で研修 小石 話が少し戻りますが、アメリカのイノセンス・プロジェクトについてお尋ねします。笹倉さんは留学中にそこで研修を受けたそうですが、具体的にはどんな活動をされましたか。 笹倉 2011年から1年間、シアトルにあるワシントン大学に行きました。当時、そこのイノセンス・プロジェクトが活発に活動しており、図書館に通って勉強するだけではもったいないので、行こうと思いました。最初は学生に交じって活動していましたが、一所懸命やっていたら、「オフィスに机あげるよ」ということになり、朝から晩までそこにいました。私自身は、DNA鑑定で救える事件を5、6件担当しました。資料を全部読み込んで、この事件ではこういう証拠を探せばいい、DNA鑑定をすればいいということを、弁護士と一緒に検討する活動をしていました。当時、このイノセンス・プロジェクトは、ワシントン大学のロースクールの中のクリニックでしたが、今ではもう少し拡大して、NPOになって、大学からも独立したようです。 小石 イノセンス・プロジェクトにはいろいろな形態があるのですか。 笹倉 そうです。一番多いのは、大学の中のクリニックとしてあるものです。そのほかにも、法律事務所や公設弁護人事務所の中にあるものもあれば、企業法務の大規模法律事務所の中に社会貢献活動の一部署として開設されたものもあります。「お金を稼いでいるだけじゃないぞ」ということでしょうか。松本潤がやっていたドラマ「99.9(-刑事専門弁護士-)」の班目法律事務所と同じでしょうか。あとは、NPO化したところもあります。 アメリカの場合は基本的に、大学の中にあれば大学のお金でスタッフを雇えます。だいたい専任の先生が1人以上……

(2019年03月19日公開)


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