四大死刑冤罪事件と袴田事件からみる日本の刑事司法の問題点(その4)

ダニエル・H・フット(東京大学名誉教授)
日本語訳/笹倉香奈(甲南大学教授)


4 冤罪の救済に向けて

 過去四半世紀にわたって行われてきた司法制度改革は、決して冤罪の根絶を保証するものではない。実際、大川原化工機事件、プレサンス事件、村木厚子氏の訴追などが示すとおり、誤った訴追の危険は今日もなお存在する。

 最近の改革、とりわけ取調べの録音・録画の義務化は、それ以前と比べれば誤判・冤罪に対する一定程度強化された防御策を提供している。しかしながら、ダン・サイモンが述べるように、検察官が被告人の有罪を前提とする誤った思い込みに基づいて証拠構造を構築したとき、当事者主義的訴訟構造や陪審制度(日本では裁判員制度)が、誤りを見抜き是正する保証はない。

 したがって、いまだ明らかにはなっていないとしても、制度改革後も冤罪が発生している可能性は十分にあり、そのような事件に対する救済制度が必要である((改革導入後に発生した誤判・冤罪の疑いがある事件としては、支援者らによれば、たとえばSBS(乳幼児揺さぶられ症候群)/AHT(虐待による乳幼児頭部外傷)をめぐる一連の事件が挙げられる(SBS/AHT事件については、秋田真志・古川原明子・笹倉香奈『赤ちゃんの虐待えん罪——SBS(揺さぶられっ子症候群)とAHT(虐待による頭部外傷)を検証する!』〔現代人文社、2023年など参照)。いわゆる山内事件(大阪高判令元・10・25判時2476号110頁、LEX/DB25570549)、赤阪事件(大阪地判令5・3・17判時2576号94頁、LEX/DB25594800)、今西事件(大阪高判令6・11・28判時2630号5頁、LEX/DB25621501、最決令8・3・3LEX/DB25626779)など無罪判決が確定した事件もあるも……

(2026年04月04日公開)


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