裁判官は身体拘束の「痛み」をわかっていない
笹倉 最後に、言い忘れていたことがあります。裁判官は、やはり「痛み」をわかっていないんです。裁判官へのアンケート(季刊刑事弁護127号の特集)でもそうでしたが、身体拘束がもたらす不利益については、あまり理解していないのではないかと思うんです。
——なぜそこが理解できないのでしょうか。想像力の問題でしょうか。
笹倉 想像力なのでしょうか。「自分も一度、身体拘束を経験してみたら」という趣旨のことを秋田真志弁護士も同じ特集の中でおっしゃっています。ただ、これは裁判官だけでなく、弁護人にも言えることだと思います。頭ではわかっているけれども、本当の意味で依頼者中心の弁護をしているのでしょうか。研究者はもちろんまったくわかっていません。だから、これは本当に裁判官には実感してもらいたい。季刊刑事弁護127号の特集のデイビッド・T・ジョンソン先生へのインタビュー「反面教師としての米国の公判前拘禁制度」の中で、先生は、とくにウェルビーイング(被疑者の健康やメンタルヘルス)が大事だということを述べていますが、そのウェルビーイングにあたる部分が、裁判官アンケートにはまったく出てこなかったのは、残念です。
——出てきませんでしたね。
笹倉 衝撃的でした。相嶋さんの事件のようなことが起こって、初めて「そんなことになっていたのか」とわかるのかもしれません。それでも理解されていない。そこは不思議です。やはり「痛みがわからない」ということが、制度をうまく変えられない一つの原因なのかなという感じです。
——長時間、ありがとうございました。
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(2026年10月23日公開)