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TATA

東京法廷技術アカデミー(TATA)とは?

東京法廷技術アカデミー(Tokyo Academy of Trial Advocacy; TATA)は、日本の刑事裁判に革新をもたらそうとする弁護士によって設立されました。2009年に施行された裁判員法は、司法研修所が教え多くの弁護士が行っている法廷活動がほとんど役に立たないことを示しました。連日開廷される法廷で市民に理解される口頭中心の法廷活動を行う技術を身につけることが刑事弁護の基礎であることが明らかになりました。われわれは依頼人の人生がかかった法廷において、プロの法律家として要求される技量を研究し、それを日本全国に普及することを目指しています。

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概要

名称:一般社団法人東京法廷技術アカデミー
事務所:東京都千代田区神田佐久間町2-7第6東ビル901号 代表理事:高野隆(第2東京弁護士会)
理事:坂根真也(東京弁護士会)、金杉美和(京都弁護士会)、高山巌(大阪弁護士会)
監事:趙誠峰(第2東京弁護士会)

一般社団法人東京法廷技術アカデミー 設立の辞

多くの若い弁護士に法廷技術を研鑽する場を提供する

わが国の法律は、刑事裁判が公開の法廷で双方の法律家の口頭弁論と証人の口頭証言を中心に行われなければならないと定めている。しかし、いつの間にか、わが国の法律家は口頭弁論の仕方を忘れ、裁判官は口頭証言よりも供述調書を重用するようになった。証人の声も表情も態度も知らない裁判官が乾いた活字を法廷の外で読むことを、専門家は「事実認定」と呼んで憚らない。法廷は生きた人間の声を聞き、当事者の赤裸々な訴えを吟味する場所ではもはやない。法廷は書類を作り受け渡す場所と化してしまった。実務教育は書類の書き方を教えるだけであり、法廷での立ち居振舞いや尋問の方法が教えられることはない。法律家の道具箱のなかから「法廷技術」という道具は消え去ろうとしている。

しかし、いままさに、この法廷技術滅亡の歴史に終止符が打たれようとしている。裁判員裁判が産声をあげたこのとき、わが国の法廷技術は長い眠りから覚め、新たな歩みを踏み出さねばならないのである。普通の市民である裁判員は調書や意見書を読んで判断することはない。彼らが仕事や家事や学業を休んで法廷に参集するのは、証人や被告人の顔を見、声を聞くためである。法律家の口頭弁論を聞くためである。誘導ばかりの主尋問や行きつ戻りつの要領をえない反対尋問では、事件の真相は何も分からない。複雑な文章を棒読みしたのでは、当事者の訴えはけっして伝わらない。法律家は主尋問によって自分の証人に印象的な物語を語らせなければならない。相手方の証人に対する反対尋問を通じて、その証言が信ずるに足りないことをつぶさに示さなければならない。法律家は、口頭表現によって証拠と理性と正義が自己の勝訴を求めていることを説得的に弁じなければならない。まさに、裁判員裁判の死活は、法律家の法廷技術にかかっているのである。

本校はわが国の法律家の間に法廷技術を普及させ、その技量を向上発展させ、全国津々浦々に、高度の法廷技術を身につけた刑事裁判の専門家たる法律家を十分に行き渡らせることを目的として開校される。この目的を達成するため多くの若い弁護士に法廷技術を研鑽する場を提供する。こうして本校はわが国における刑事司法改革の要を担うのである。

2013年8月 一般社団法人東京法廷技術アカデミー 代表理事 高野 隆

校長:高野隆弁護士

略歴

1979年 早稲田大学法学部卒業
1982年 弁護士登録(埼玉弁護士会)
1987年 サザン・メソジスト大学ロー・スクール卒業(LL.M)
2004年 第二東京弁護士会に登録換え
2004年 早稲田大学大学院法務研究科(法科大学院)教授(~2009年)
2006年 日弁連裁判員本部・法廷技術に関するプロジェクトチーム座長(~2014年)
2015年 日弁連刑事弁護センター・法廷技術小委員会委員長(~2016年)

現職

高野隆法律事務所代表パートナー
一般社団法人東京法廷技術アカデミー代表理事

主な著作

憲法的刑事手続研究会編『憲法的刑事手続』(分担執筆、日本評論社、1997年)
キース・エバンス『弁護のゴールデン・ルール』(翻訳、現代人文社、2000年)
高野隆他『偽りの記憶:本庄保険金殺人事件の真相』(共著、現代人文社、2004年)
日弁連編『法廷弁護技術』(分担執筆、日本評論社、2007年)
木村晋介編著『激論!「裁判員」問題』(分担執筆、朝日新書、2008年)
高野隆編著『ケースブック刑事証拠法』(現代人文社、2008年)
高野隆監修『DVDで学ぶ裁判員裁判のための法廷技術(基礎編)第1巻』(現代人文社、2011年)
高野隆監修『DVDで学ぶ裁判員裁判のための法廷技術(基礎編)第2巻』(現代人文社、2012年)
『実務大系 現代の刑事弁護1 弁護人の役割』(第一法規、2013年)(共編著)
『実務大系 現代の刑事弁護2 刑事弁護の現代的課題』(第一法規、2013年)(共編著)
高野隆監修『DVDで学ぶ裁判員裁判のための法廷技術(基礎編)第3巻』(現代人文社、2014年)
『実務大系 現代の刑事弁護3 刑事弁護の歴史と展望』(第一法規、2014年)(共編著)
講演録「なぜ弁護するのか」(Law&Practice第8号、2014年)
「無罪判決に対する検察官上訴は許されるべきか」木谷明責任編集『シリーズ刑事司法を考える第5巻 裁判所は何を判断する』(岩波書店2017年)所収
「裁判官は裁判員に『経験則』を教えることができるか」木谷明責任編集『憲法的刑事弁護--弁護士高野隆の実践』(日本評論社2017年)所収

関連リンク

刑事裁判を考える:高野隆@ブログ http://blog.livedoor.jp/plltakano/
一般社団法人東京法廷技術アカデミー http://www.trialadvocacy.jp/
講演録「なぜ弁護するのか」 http://www.lawandpractice.net/files/no8/8_11.pdf