1(2004年)

[最優秀賞]

過酷な取調べから依頼者を守る

森直也もり・なおや大阪弁護士会・53期

迷惑防止条例違反被疑事件、準抗告申立(勾留場所変更)事件、暴行被告事件

pdfアイコン
[優秀賞]

音信不通の母親を探して得た執行猶予

小林功武こばやし・よしたけ大阪弁護士会・53期

窃盗被告事件

pdfアイコン
[優秀賞]

緻密な立証活動で戦う否認事件

小林正憲こばやし・まさのり第二東京弁護士会・53期

窃盗被告事件

pdfアイコン

[論評]

 第1回季刊刑事弁護新人賞には、自薦・他薦を含め、7名の応募がありました。2003年11月8日に選考委員会を開き、厳正な審査の結果、標記のとおり最優秀新人賞1名、優秀新人賞2名が決定しました。

 応募数は決して多いとはいえませんが、いずれの応募作からも、刑事弁護にかける熱意が溢れ出してきそうな勢いを感じました。審査の過程で、審査員は口々に「みんな、本当によく頑張っている」という感想をもらしていました。

 今回は総勢7名の応募だったため、すべての審査員がすべての応募作に目を通して議論を交わし、最終的には各自が1位、2位、3位の作品に投票し、最高得点獲得者を最優秀新人賞に、次点・次々点を優秀新人賞としました。

 そのなかで、栄えある第1回最優秀新人賞に選ばれた大阪弁護士会の森直也弁護士(53期)は、すべての審査員が票を投じ、広い支持を集めました。被疑者段階における捜査弁護のモデルとなるような、創意工夫と熱意ある、徹底した活動が全審査員に高く評価されました。さらに、文章もうまい、という声も多く上がりました。

 優秀新人賞の小林功武弁護士(53期)も大阪弁護士会所属です。情状弁護ですが、凄まじいまでのフットワークや、再度の執行猶予を目標として前に言い渡された事件の示談をするなど、「ここまでやるか」という声も上がる熱心な活動を報告してくれました。

 もう一人の優秀新人賞は、第二東京弁護士会の小林正憲弁護士(53期)と決まりました。窃盗の否認事件で、公判段階において、検察官だけではなく、裁判所の訴訟指揮とも正面から戦う姿勢、緻密な弁護側立証の活動が高く評価されました。

 入賞から漏れた方々の活動も、いずれも尊敬と賞賛に値するものでした。当初は、入賞作のみを誌上掲載する予定でしたが、埋もれさせるのはもったいないという声がすべての審査員から上がり、全作品を随時掲載していく予定です。

 今回の応募は、三重からのお1人を除くと、東京から3人、大阪から2人、福岡1人と大都市部からのものがほとんどを占めていました。今回の応募作と同じレベルの頑張りをされている方々もきっと全国におられるはずで、次回はより広く、多くの応募を期待しています。