ケース研究 責任能力が問題となった裁判員裁判


ケース研究 責任能力が問題となった裁判員裁判

本体3,600円+税

日本弁護士連合会・日弁連刑事弁護センター 編 / 日本司法精神医学会・精神鑑定と裁判員制度に関する委員会 編

責任能力が問題となる事件の弁護活動のあり方を検討するには、精神科医の協力が不可欠である。精神鑑定書の読み方一つとっても、弁護人には理解が難しい。複数の精神科医から意見を聴くことで、理解を深めることができる。また、尋問のあり方についても、尋問を受ける証人(鑑定人)の立場からの意見を聴くことで、尋問のあり方を検証することができる。このような問題意識から、日本弁護士連合会では、日本司法精神医学会・精神鑑定と裁判員制度に関する委員会の協力のもと、定期的に協議会を開催してきた。そこでは、責任能力が争われた事件の弁護人を招いて、精神鑑定と弁護活動を報告してもらい、精神科医と弁護士による共同検討を行ってきた。
本書では、上記協議会の成果をとりまとめたもので、責任能力が争われた裁判員裁判10ケース(統合失調症圏、気分障害圏、物質関連障害・飲酒酩酊、発達障害)を取り上げている。
一つのケースについて、それぞれ、担当弁護人による事例報告、精神科医と弁護士のコメント、判決書の抜粋が収められている。ときには意見が対立することもあるが、一つの事例について、異なる視点からの分析が加えられることにより、事例をより深く理解することができる。

【第1部】 統合失調症圏

[ケース1]殺人未遂被告事件(診断:統合失調症)京都地判平25・2・26

[ケース2]殺人未遂被告事件(診断:統合失調症)東京地判平25・7・2

[ケース3]殺人被告事件(診断:統合失調症)鳥取地決平25・7・22

【第2部】 気分障害圏

[ケース4]殺人被告事件(診断:うつ病)さいたま地判平22・9・6

[ケース5]殺人被告事件(診断:うつ病)大阪地判平26・9・3

[ケース6]現住建造物等放火被告事件(診断:うつ病)神戸地姫路支判平25・3・27

[ケース7]強盗傷人被告事件(診断:躁うつ病→非定型精神病)東京地立川支判平23・11・7/東京高判平24・10・3

【第3部】 物質関連障害・飲酒酩酊

[ケース8]傷害致死被告事件(診断:精神作用物質による精神病性障害)福岡地判平26・10・20

[ケース9]現住建造物等放火被告事件(診断:飲酒酩酊)東京地立川支判平23・6・13

【第4部】 発達障害

[ケース10]殺人被告事件(診断:アスペルガー障害)大阪地判平24・7・30/大阪高判平25・2・26

(2019年11月15日公開) 


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