2月19日、第20回季刊刑事弁護新人賞の授賞式と記念セミナーが、東京で開催


記念セミナー講師の後藤貞人弁護士(中央)を挟んで、受賞者の平岡百合さん(右側)と進藤一樹さん(左側)(2023年2月19日、(株)TKC東京本社の法廷教室にて)。

 第20回季刊刑事弁護新人賞の授賞式が、2月19日(日)、(株)TKC東京本社の法廷教室で開催された。授賞式後に行われた記念セミナーで、後藤貞人弁護士(大阪弁護士会)が「否認事件の闘い」をテーマに講演した。

 受賞式では、最優秀賞の平岡百合さん(東京弁護士会・73期)と優秀賞の進藤一樹さん(愛知県弁護士会・72期)にそれぞれ賞金と副賞(フクロウの置物)が贈呈された。

 平岡さんは「(所属する)北千住パブリック法律事務所の先輩や後輩のアドバイスなくして、この賞につながらなかった」と受賞の喜びをかみしめながら感謝の言葉を述べた。

 また、進藤さんは「問題を抱えた方の弁護活動を福祉関係の方と協力してすることができた。私一人の力でなく、まわりの弁護士やお世話になった支援者の方の協力もあっていただいた賞である」と挨拶した。

 平岡さんが担当した事件は、弁護士1年目に被疑者国選で 受任した傷害致死被疑事件で、70歳の妻Oさんが夫の顔や背中を水入りペットボトルで複数回殴打し、顔面打撲、肋骨骨折等の傷害を加えて、不詳の傷害により死亡させたというものである。不起訴処分の後、Oさんに対して医療観察法の入院処遇の申立てが行われた。この申立事件で、捜査機関が主張する被害者に残る傷について、鑑定書など記録を丹念に読み込み、夫自身の転倒など別の原因によって発生した可能性を明らかにして、申立却下決定を獲得した。

 進藤さんが担当した事件は、国選弁護で受任した、コンビニで焼酎1本を窃取したとされる窃盗被告事件(万引)である。被告人は前回の万引事件で略式罰金を受けた直後で、身寄りもなく被害弁償できるほどの資力がないなどから、執行猶予は十分見込まれるが、その獲得には幾らか困難が予想された。居住先の確保など福祉関係者との協力・支援体制を構築して、執行猶予付判決を得た。

 いずれのレポートも、季刊刑事弁護113号(2023年1月20日発売)に掲載されている。また、受賞作は、本サイトの「季刊刑事弁護新人賞」のコーナーでも閲覧することができる。

 第21回の新人賞の募集がすでにはじまっている。要項など詳しくは同コーナーをご覧ください。

(2023年03月14日公開)


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