7月2日、日弁連法務研究財団が「情状弁護の質的転換を目指して〜困難を抱えた人々の法的支援と刑事弁護」を開催


 公益財団法人日弁連法務研究財団は、7月2日(金)に、情状弁護に関する研修会を行う。

 これまで、刑事事件では一般に、刑罰により犯罪者の反省を促し更生を図るという方法がとられてきた。それに対し、アメリカのフロリダで1980年代にドラッグ・コートという薬物専門の裁判所が開設され、刑罰ではなく治療を通して再犯を防止するという実践が始まった。そこから「治療的司法」という新たな司法観が生まれた。薬物依存に限らずギャンブルやDVなどの問題行動の原因を解決して刑罰を回避する「問題解決型裁判所」と呼ばれる一連の治療・回復支援型の裁判実践が普及しつつある。

 日本の裁判所においても、刑の一部執行猶予制度など治療的司法という考え方に共通する発想が広まりつつある。

 現在、日本では高齢者や障害者の再犯率が高止まり傾向にあるが、そうした犯罪者の問題を解決する仕組みを司法制度に組み込んでいくことが焦眉の課題である。また、女性犯罪・女子非行の場合には、その背景にある経済的貧困や家庭環境などの解決がなければ、再犯防止・再非行防止にはつながらない。

 そうしたケースを取り扱う弁護士においては、法的な解決のみならず、依頼者の抱える問題について社会福祉士など専門職や援助職と連携しながら解決することを通して、依頼者の人生を再生させる契機を生み出すことが重要となる。

 この研修では、「若草プロジェクト」という問題を抱えた女性・女子の支援活動を呼びかけている村木厚子(元・厚生労働省事務次官)氏の講演、後藤弘子(千葉大学)教授による司法過程におけるジェンダー問題について問題提起を行う。その後、援助職や弁護士、支援を受けた当事者(元被告人)の経験談を基に、具体的な情状弁護の実践方法や課題について意見交換を行う。

○日時:2021年7月2日(金)16時〜19時

○開催方法:オンライン開催(定員500名)と会場(定員50名)のハイブリッド開催

○会場:ビジョンセンター日比谷(定員50)
 東京都千代田区有楽町1−5−1 日比谷マリンビル3階 東京メトロ・都営地下鉄「日比谷駅」A9出口直結
 https://www.visioncenter.jp/hibiya/access/

○プログラム(予定)
 ・オーガナイザー:指宿 信(成城大学教授)
 ・基調講演
  村木厚子(元・厚生労働省事務次官・若草プロジェクト代表呼びかけ人)
  後藤弘子(千葉大学専門法務研究科教授)
 ・事例報告
  ファシリテータ:菅原直美(弁護士)
  登壇者: 弁護士、援助職、当事者等3〜4名を予定

○参加費:無料

○定員オンライン500名、会場50名
 *新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては、会場参加は取り止めオンラインのみの開催となる可能性がある。

○主催:公益財団法人日弁連法務研究財団

○申込方法:参加希望の方は、以下の申込サイトから申込む。
 オンラインによる参加で申込みの方には、後日、オンラインによる参加方法等の詳細について、登録したメールアドレス宛てにご案内する。
 https://forms.gle/FVW5NzNsQyEkGcf26

○チラシ:チラシ(PDF)

(2021年06月25日公開)


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