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季刊刑事弁護100号記念模擬裁判員裁判を開催 約150人の弁護士らが傍聴


検察官による証人尋問の模様
検察官による証人尋問の模様(左が証人席、右が裁判官・裁判員席、奥が検察官席、手前が被告人・弁護人席。2019年11月2日、株式会社TKC法廷教室)

 1995年1月に創刊した季刊刑事弁護は、本年(2019年)10月に100号を迎えた(1号から99号までの各号目次)。これを記念した模擬裁判員裁判が11月2日、東京飯田橋の株式会社TKC法廷教室で行われた(主催:株式会社現代人文社。協賛:株式会社TKC、一般社団法人東京法廷技術アカデミー、刑事弁護フォーラム、特定非営利活動法人刑事司法及び少年司法に関する教育・学術研究推進センター)。

 検察官役に後藤貞人、高山巌(いずれも大阪弁護士会)、弁護人役に高野隆(第二東京弁護士会)各弁護士を、また裁判長役には実際に裁判員裁判での裁判長経験のある福崎伸一郎弁護士(第一東京弁護士会)、裁判員役に一般市民4人を迎えた。

 現在の日本で最高の法廷技術のやり取りを見たいと、全国から約150人の弁護士や研究者らが集まった。法廷教室に入りきらない傍聴人は、隣室で中継を視聴。また、通常は見ることができない証言者の表情や評議室での議論の様子も、法廷教室や中継室の画面に流され、これが好評だった。

 素材となった訴訟資料は、実際にあった「強盗致傷被告事件」を改変したもの。被害者から車を奪い取った「共犯者」と被告人は共謀していたとする検察官に対し、「共犯者」が車を奪い取ったときに被告人はうたた寝をしており、共謀などないと弁護人は主張した。途中休憩を挟んで4時間半に及んだ証人尋問等の後、2時間の評議で裁判員が達した結論は、無罪だった。

 裁判員役からは判決後、「検察官の言うことも筋が通っており有罪かとも思ったが、それが証拠に基づいた確実なものかと問われたら、有罪と言うことを躊躇した」「圧倒的な資金と人員を持つ警察の捜査をもとに動く検察に比べ、被告人や弁護人は無力だからこそ、少しでも疑いがあったり絶対的な確証がなければ無罪とすべきだとの、最終弁論は重く受け止めた」などの感想が聞かれた。

 当日の模様は、来春インターネット配信、DVD等で販売する予定。また、検察官役、弁護人役が準備段階も含めて振り返る特集を、季刊刑事弁護102号(2020年4月発行予定)に掲載する予定である。詳細が決まり次第、本サイトでもご紹介する。(北)


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