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「証拠開示のデジタル化を実現する会」要望書を政府に提出へ


 このほど、「証拠開示のデジタル化を実現する会」(共同代表:後藤貞人弁護士、高野隆弁護士)が発足した(事務局:info@change-discovery.org)。同会では、11月末に、河野太郎・内閣府特命担当大臣(規制改革)、上川陽子・法務大臣、 林眞琴・検事総長あてに「証拠開示のデジタル化を求める要望書」を提出する予定である。

 要望書は、「刑事事件の証拠開示において、検察官が、証拠の電子データを格納したメディアを作成し、弁護人に交付する運用を開始すること」 を求めるものである。

 現在、その電子署名を集めている。11月23日現在、3800筆以上の署名が集まっている。署名や要望の詳細は以下のURLから知ることができる。

https://www.change-discovery.org/

 要望書によると、私選弁護事件では、弁護士や被告人が謄写費用を自己負担する。都市部では弁護士は民間の謄写業者に証拠書類のコピーを依頼する。通常、モノクロ1枚40円前後、カラー1枚80円前後の謄写費用を支払う。自己負担額は数万円以上となることが多く、600万円以上を被告人が自己負担した例もある、という。

 業者の謄写の単価が高額であることはこれまでも指摘されている。この費用を節約するため、コピーしないで閲覧してメモをとることですますという悩ましい選択をせざるをえない弁護人もいるといわれる。これでは十分な弁護活動は望めない。要望書のように証拠を紙でコピーさせるのをやめ、PDFファイルなどの電子データで提供すれば、費用負担の問題は解決する。実現のための法改正が必要ないので、検察庁が運用をかえれば、すぐできることである。

 すべてを電子データで事務処理できないため、従来の紙による謄写を望む弁護士もいるので、従来方式と電子データ提供方式のどちらかを選択させればよいだろう。また、電子データ提供方式を証拠開示の遅れの言い訳にすることがあっては、本末転倒である。

 検察庁に、電子データ提供方式運用の課題の洗い出しに直ちに着手することを要望するとともに、電子データ提供方式が実現されることを期待する。

(2020年11月24日公開) 


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