再審法改正をめざす市民の会は、法制審議会に対して、刑事法(再審関係)部会の会議の公開を要請


再審制度の見直しを議論する法制審議会刑事法(再審関係)部会(法相の諮問機関)の初会合=2025年4月21日午前、法務省(写真提供:時事通信社)

 5月26日、再審法改正をめざす市民の会は、法制審議会(会長:大村敦志)に対して、現在開催中の法制審議会—刑事法(再審関係)部会(以下「再審部会」)の会議を次回から公開するよう要請書を送付した。

 法制審議会が再審法改正について本格的に審議するのは初めてである。一方、「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」(会長:柴山昌彦衆議院議員)は、近く再審法改正案を今国会に提出する。このように、再審法改正の動きがダブルトラック状態になっている。それだけに、再審部会の会議内容について、冤罪被害者はもとより、多くの市民やメディアがその行方に高い関心を寄せている。

 しかし、4月21日に開催された再審部会の第1回会議は非公開であった。このため、市民の会は法制審議会に対し、次回以降の再審部会の会議を公開するよう強く求めている。

 静岡新聞4月28日付ネット配信記事はつぎのように報じている。会議の公開について、再審部会第1回会議後、法務省は「傍聴を特別に認めるかは総会の決議が必要だが、3⽉の総会で要望はなく、後⽇ホームページで議事録と資料を公表する従来の運⽤にした」と説明したという。

 この点について、市民の会は要請書の中で「同総会の議事録を確認しても、再審部会の会議の公開のあり方について事務当局から具体的な提案がなされた形跡はなく、事前に各委員に意見を聞いたことを伺わせる記述もありません。これは再審部会第1回会議の議事録を確認しても同様であり、然るべき提案もせずに、委員から要望はなかったとして従来の運用にした判断には疑問を抱かざるを得ず、会議の公開について法制審の事務当局が消極的であることは明らか」だと批判する。

 国は、審議会のあり方について基本方針(「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」〔平成11年4月27日閣議決定〕)を定めている。それによれば、「議事内容の透明性を確保する」ために「会議又は議事録を速やかに公開すること」が原則とされている。同「基本的計画」で、「基本的政策型審議会」に分類されている審議会のほとんどは議事録だけでなく会議を公開している。法制審議会もこの分類に入る。また、情報通信審議会、中央教育審議会、社会保障審議会などのように、オンライン傍聴やYouTube配信を実施している審議会も少なくない。

 市民の会では、「今回の法制審諮問にあたって鈴木馨祐法務大臣は『国民の皆様方の間での関心が極めて高い』(3月28日閣議後会見)、『スピード感を持ちながら、しっかりと取組を進めてまいりたい』(3月14日閣議後会見)などと述べています。そうであればなおさら、法制審は再審部会の会議自体を公開して市民及び法務大臣の要請に答えるべきです」と訴えている。

(2025年05月27日公開)


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