第4回オンライン高校生文学模擬裁判選手権で、愛光高校(愛媛県)が初優勝


 2023年12月17日に行われた第4回オンライン高校生文学模擬裁判選手権で、優勝が愛光高等学校(愛媛県)、2位が神戸女学院高等学部(兵庫県)、3位が中央大学杉並高等学校(東京都)とそれぞれ決まった。

 今回のテーマは、松本清張『相模国愛甲郡中津村』『不運な名前』の2冊をモチーフとし、「熊坂長庵」に焦点を当て、通貨偽造罪・同行使罪の有罪か無罪かを争うものであった。

 本大会は、逆転、波乱の大会であったが、大会委員長の札埜和男・龍谷大学准教授は、つぎのように大会を振り返った。

 「松本清張『相模国愛甲郡中津村』『不運な名前』をモチーフにゲルマン贋札事件の被告人・『熊』坂長庵を『猫』坂長庵に変えて資料を作りました。各校が資料から読み取った被告人=『猫坂』像が非常にバラエティに富んでいました。ジャッジ担当の講評にもありましたが8校の猫坂さんがズラッと並んだらその違いは明白だったでしょう。各校とも明治という時代性を問いつつ、銅版印刷技術の知見をどう活かすか悩みながら、立証に苦労していたようです。通貨偽造罪・同行使罪という現代では馴染みのない犯罪でもあり、今までで最も難しい教材だったように思われます。

 試合当日は事前講義でお世話になった北海道・月形樺戸博物館学芸員、銅版印刷株式会社代表の方々もご観戦下さり『大変興味深く見ることができました。内容を考え、各担当の学生さん達が一生懸命に行っている姿が大変良く伝わりました。身なりからなりきるところも良かったです』『学生たちの熱意に圧倒されました』といった感想をいただきました。

 結果は(「愛甲郡」と同じ音の)愛光が初優勝、2位が神戸女学院、3位が中大杉並でした。愛光は前半こそ振るいませんでしたが、後半巻き返し、裁判官の心を掴んで逆転で首位に躍り出ました。今大会は女子の生徒さんの活躍がいつも以上に目立ちました。愛光も神戸女学院も全員選手は女子、MVP受賞者全員も女子の生徒さんです。またMVPの一人にはなんと『熊坂さん』(中大杉並)が選ばれました。しかも役割は『弁論』、草葉の陰で長庵もさぞ喜んでいることでしょう。さまざまなエピソードが生まれた大会になりました。

 なお、夏の優勝校・神戸女学院と冬の優勝校・愛光で、昨年同様、文学模擬裁判日本一決定戦を実施する予定です(詳細未定)」。

○出場校(7校・1団体):順不同
 宮城県宮城野高等学校(宮城県)
 中央大学杉並高等学校(東京都)
 神戸女学院高等学部(兵庫県)
 神戸海星女子学院高等学校(兵庫県)
 創志学園高等学校(岡山県)
 済美平成中等教育学校(愛媛県)
 愛光高等学校(愛媛県)
 九州高校生有志連合チーム

○主催:龍谷大学札埜研究室・オンライン高校生文学模擬裁判選手権実行委員会

○後援:京都教育大学附属高等学校模擬裁判同窓会、龍谷大学犯罪学研究センター、矯正・保護総合センター刑事司法未来PJ、龍谷大学法情報研究会、刑事弁護オアシス

(2023年12月27日公開)


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