龍谷大学矯正・保護総合センター研究年報13号が、「團藤重光研究の新たな展開」を特集


生誕110周年記念特別展「團藤重光の世界──法学者・最高裁判事・宮内庁参与」の入口付近(2023年6月3日、龍谷大学深草キャンパス至心館2階。撮影:編集部)

 このほど、龍谷大学矯正・保護総合センターが発行する研究年報13号が、「團藤重光研究の新たな展開」と題して特集を組んだ。

 同センターでは、團藤重光氏が残した蔵書や資料等を團藤文庫として所蔵している。同センターは團藤文庫研究プロジェクトを立ち上げて、さまざまな分析を行ってきた。最近では、團藤氏の最高裁判事時代に記された日記や雑記帳などを資料として、團藤の思想の形成、発展過程や、最高裁内部の審理過程の分析に取り組んできた。その研究成果が大阪空港公害訴訟審理過程の分析である。司法の独立を揺るがすような政府からの介入が行われた事実が明らかになった。それは2023年4月、NHKのETV特集で「誰のための司法か〜團藤重光 最高裁・事件ノート〜」として放映された。

 大阪空港公害訴訟は、航空機の騒音被害を被っている住民が同空港の夜間飛行の差止めなどを求めていたものである。二審の大阪高等裁判所で住民側が勝訴し、夜間飛行の差止め等が認められた。しかし、1981年の最高裁大法廷判決は一部損害賠償を認めただけで、午後9時から午前7時までの夜間飛行差し止めについては却下した。

 この訴訟では、当初係属していた第一小法廷で結審した後、突然大法廷に回付された。これまで、なぜ大法廷に回付されたか、第一小法廷の和解勧告に国はなぜ応じなかったのか、大法廷の多数意見はどのように形成されたか、多くの謎が残されていた。本特集の一つである佐藤岩夫「團藤重光文庫資料に見る大阪空港公害訴訟最高裁判決の形成過程」は、この大法廷判決がどのように形成されたか、その過程を團藤氏の日記などから、その謎を解明するものである。

 その他、福島至・畠山亮「大阪空港公害訴訟に係る團藤重光『雑記帳』『主任事件メモ』をめぐる社会還元について」、佐藤元治「團藤重光の人物像・法思想にみられる團藤家のルーツおよび少年期の岡山での生活の影響」が収録されている。


【関連文献】
・「特集:團藤文庫を用いた研究の可能性」『龍谷大学矯正・保護総合センター研究年報6号』(2016年)
・福島至編著『團藤重光研究──法思想・立法論、最高裁判事時代』(日本評論社、2020年)

(2024年03月01日公開)


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