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「冤罪犠牲者の会」が3月に発足警察や検察の「加害責任」を問う法整備を


冤罪犠牲者の会
「冤罪犠牲者の会」を結成する理由や経緯を説明する桜井昌司さん(左)と二本松進さん(2019年2月8日、写真撮影:小石勝朗)

 冤罪の被害に遭った当事者と家族が「冤罪犠牲者の会」(仮称)を発足させることになった。3月2日に東京都内で結成総会を開く。冤罪被害者による全国組織ができるのは初めて。冤罪を防いだり被害を救済したりするための刑事司法改革や、「加害者」である警察官や検察官、裁判官の責任を問う法整備をめざすという。

 会の設立を呼びかけたのは、1967年に茨城県で男性が殺害された布川事件の冤罪被害者の桜井昌司さん(72歳)。無期懲役が確定して仮釈放まで29年間、身柄を拘束された後、2011年に再審無罪となった経歴を持つ。

 会への参加を予定しているのは、約40事件の当事者・家族(2月8日時点)。足利事件、東住吉事件、氷見事件といった再審無罪が確定した当事者をはじめ、再審請求中の袴田事件や狭山事件、公判中の今市事件などが含まれている。罪名は殺人、収賄、窃盗、痴漢などさまざまで、著名な事件からあまり知られていない事件まで、多彩な顔ぶれが集まりそうだ。

 特に問題視しているのは、公判や再審請求審での検察による証拠隠し。日本弁護士連合会(日弁連)などとも連携し、検察の「意味のない抵抗」を封じるために、証拠全面開示の立法化を国会議員に働きかける。また、冤罪被害者による会議を定期的に開き、情報交換を進める。会の共同代表には、東住吉事件の青木恵子さん、志布志事件の藤山忠さんらが就く予定だ。

 桜井さんによると、結成を考えたきっかけは、昨年7月に大津地裁が死後再審の開始決定を出した日野町事件(1984年)。審理の中で無期懲役の有力な証拠とされた写真の撮影順が警察によって入れ替えられていたことが明らかになったが、警察官は「よくあるんです」と平然と言い放ったという。この話を聞いて「警察と検察の犯罪的な行為を止めさせない限りは、これからも同じように冤罪犠牲者は作られる」(結成案内文から)と決意し、呼びかけを始めた。

 桜井さんは2月8日の記者会見で「警察や検察、裁判所には『悪い者が相手なら何をしてもいい』という感覚が根底にある。冤罪が明らかになっても責任を問わず許したままで良いのか、社会に問いかけたい」と話した。

 会見には、築地警察署公務執行妨害事件で不当逮捕され、国家賠償請求訴訟で勝訴した二本松進さん(70歳)も同席。「無実の人が不当逮捕されれば、長期間の不当勾留、何年かかるか分からない裁判、そして不当判決が待っている。無罪になっても『本当はやっていたんじゃないのか』と言われ続ける。なのに、公権力である警察や検察、裁判所の『犯罪』を罰するシステムはない。日本の刑事司法を変えなければいけない」と語気を強めた。

(ライター・小石勝朗)

 


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