世界えん罪の日2025/「ひとごとじゃないよ!人質司法」プロジェクトが、「人質司法関係者への表彰状」「この国では、えん罪も成果になる。」を新聞広告


2025年10月2日の中日新聞東海本社版朝刊、見開き(全30段)のカラー広告

 10月2日は、「世界えん罪の日」(InternationalWrongful Conviction Day)である。

 これは、2014年に、えん罪に対する問題意識を高めることを目的として、イノセンス・ネットワーク(Innocence Network) によって創設され、今年は12回目にあたる。

 この日に合わせて、世界各地域のイノセンス団体によって、えん罪の原因やえん罪救済について人々と共有するため、さまざまなイベントが企画された。

 日本の「ひとごとじゃないよ!人質司法」プロジェクトは、人質司法の解消を目指して、今年も「世界えん罪の日」広告を中日新聞東海本社版朝刊(見開き全30段のカラー)で発表した。

 今年のメッセージは、「この国では、えん罪も成果になる。」で、この6月に国家賠償請求事件が確定したえん罪・大川原化工機事件を題材とした、「人質司法関係者への表彰状」である。

 報道によると、この事件で警視庁は、公安部に授与されていた「警察庁長官賞」と「警視総監賞」を、また捜査員らも総監賞の個人表彰をそれぞれ返納していたという。しかし、賞の取消しや剝奪などの報道はいまだない。

 この広告は、大川原化工機事件に着想を得たと思われる。

 広告のデザインは、第1回、第2回広告と同様に、株式会社電通のコピーライター橋口幸生さんと、同アートディレクターの岩下智さん、そして新たに浦口果歩さんが、ボランティアで作成した。

 「ひとごとじゃないよ!人質司法」プロジェクトは2023年6月、イノセンス・プロジェクト・ジャパン(IPJ)とヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)よって開始された。

 同プロジェクトは、日本のえん罪の原因の一つに、人質司法があると訴える。人質司法は、いつ終わるのかもわからない勾留がうその自白を引き出し、えん罪を生みだすとして、国内外で批判されている。

 同プロジェクトは、写真やご感想をお待ちしている。SNSへの投稿の際には、ハッシュタグ(#ひとごとじゃないよ人質司法、#世界えん罪の日)を付すことをお願いしている。

【広告の全文】
表彰状
人質司法関係者 殿
あなたは捜査にあたり、筋書き通りに被疑者を逮捕するために、
証言の誘導やデータの隠蔽に創意工夫を凝らしました。
また、捜査の検証を省いて起訴し、保釈も却下し続けることで、
有罪判決へと邁進されました。
推定無罪がゆらぐほどの精勤をここに称え、表彰いたします。
令和七年十月二日 「世界えん罪の日」

【ボディーコピー】
 大川原化工機事件は、えん罪だった。にもかかわらず、警視庁公安部外事1課は「警視総監賞」「警察庁長官賞」を受賞し、捜査員の多くが昇進しました。検察は警察の違法捜査を追認し、裁判所は保釈を却下し続けました。
 被告人の一人は胃がんと診断されましたが、それでも保釈されず、無実が明らかになる前に病死しています。
真実を曲げてでも、立件すれば評価される。
 それが、長期勾留で嘘の自白を引き出す「人質司法」につながっています。
 どうかこの問題に関心を持ってください。
 そして、人質司法見直しへの世論を高めてください。
 私たち一人ひとりの声が、えん罪を「成果」から「恥」に変えるのです。

(2025年10月03日公開)


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