7月25日、吉岡敏朗監督『麻てらす番外編 やまさん余命半年の挑戦』上映会開催/2023年大麻取締法改定、課題はなお残る


がん治療のために大麻草を吸煙したとして裁判にかけられた山本正光さん(映画『麻てらす番外編 やまさん余命半年の挑戦』より。©︎Apple of Eyes)

山本大麻裁判ドキュメンタリー

 2026年7月25日、『医療大麻を考える日——映画上映&お話会』が開催された。同イベントは、吉岡敏朗監督『麻てらす番外編 やまさん余命半年の挑戦』の、全国9都市同時上映会である。

 この映画は、「やまさん」こと山本正光さんが大麻草に向き合った半年間を追ったドキュメンタリーだ。山本さんは、2013年に肝臓がんを患い、さまざまな治療を試みるも、回復を見込めなかった。他に方法はないかと調べて、大麻草ががん治療に有効であると確信した山本さんは、大麻草を吸煙し始めた。すると、がんが小さくなったうえ、食欲が出て痛みも減り、前向きな気持ちになるなど、体調が改善していった。

 しかし、2015年12月、大麻取締法違反(所持)で逮捕され、裁判で、がん治療目的の大麻所持を禁止することの違憲性などを主張したが、論告求刑の直前で息を引き取った(公訴棄却)。

 山本さんの事件は、大麻取締法改定前のものであるが、現在も医療用大麻に関して課題は残る。2023年の法改定により、大麻草は麻薬及び向精神薬取締法(以下、麻向法)上の「麻薬」となり(麻向法2条1項1号の2)、主に同法によって規制されることとなった。大麻取締法4条(大麻から製造された医薬品の施用などを禁じる規定)はなくなり、麻薬施用者(麻向法2条1項18号、医師など)が「麻薬」を施用すること、麻薬施用者から施用のため「麻薬」を交付された者(患者など)が「麻薬」を施用したり所持したりすることは禁止されていない(麻向法27条1項柱書、同項2号、28条1項1号)。

 また、大麻草から抽出されたカンナビジオール(CBD)を有効成分とする、難治性てんかんの治療薬であるエピディオレックスの臨床試験が行われており、承認される日は近いとの話もある。

 しかし、改正法案についての国会での質疑において、武見敬三厚生労働大臣(当時)が「大麻草の医療用途の利用方法としては、あくまでも大麻草の成分を抽出して製剤化した医薬品であって、……大麻の葉の吸煙は想定しておりません」と発言している(第212回国会・衆議院・厚生労働委員会第3号〔令5・11・10〕)。大麻草が、エピディオレックスのように医薬品として承認されることは考えにくい。また、麻薬施用者でない者が「麻薬」を施用することは禁じられている(麻向法27条1項柱書)。

 つまるところ、法改定を経た現在でも、山本さんのようにたとえがん治療目的であっても、大麻草を吸煙すれば、逮捕・処罰されるおそれがあるのだ。

「誰かやってくれよ」ではなく、自分がやらないと

 上映会の後には、西谷雅史さん(医師・ひびきの丘 北海道統合医療協会代表理事)、正高佑志さん(医師・日本臨床カンナビノイド学会副理事長)、三木直子さん(出版翻訳家・GREEN ZONE JAPAN理事)、長吉秀夫さん(ノンフィクション作家・山本裁判支援団)、吉岡監督らが登壇し、法改定もふまえて、医療における大麻草活用に向けた展望を語った。

 最後に、大藪龍二郎さんも登壇し、大藪大麻裁判の上告棄却決定を報告した。さらに、上映会の来場者に向けて、「被害がないのに大麻で逮捕されるという現状になっているのは、一人ひとりの責任でもある。主権者であることに気づいていない人が多すぎる。『誰かやってくれよ』という気持ちはわかるが、自分がやらないと変わらないし、諦めるのは本当によくない」と訴えた。

 大麻草は植物である。ゆえに、個体差があり心身への影響を一般化できないかもしれない。山本さんのように症状が緩和される人もいれば、そうでない人もいるだろうが、それは多くの医薬品にもいえることではないか。大麻草の吸煙により、より快適な生活をできる人がいる。国家がその選択肢を奪ってよいのだろうか。

 山本大麻裁判については、石塚伸一ほか編著『大麻使用は犯罪か?——大麻政策とダイバーシティ』(現代人文社、2022年)[長吉秀夫]参照。

 なお、『麻てらす番外編 やまさん余命半年の挑戦』(吉岡敏朗監督)の上映会は、誰でも開催することができる。詳しくは、同映画のHPを参照。

(お)

(2026年08月18日公開)


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