集会「若者が考える死刑廃止——死刑廃止世界大会 in パリに参加して」(8月22日)/若い仲間たちとの交流と生の声から、日本での死刑廃止に対する取組みに刺激と示唆をえた


イベントの「若者大使のトークライブ」で、第9回死刑廃止世界大会(パリ)から学んだことと今後の抱負を語る参加者ら。右から崎浜空音さん、本谷碧さん。左端は聴き手の大槻展子弁護士(8月22日、青山学院大学、刑事弁護オアシス編集部撮影)

 高市早苗政権下では初めて死刑が執行された。

 8月21日、2009年に5人を殺害した大阪パチンコ店放火殺人事件で死刑が確定した高見素直死刑囚(58歳)が大阪拘置所で執行された。去年6月には、神奈川県座間市で男女9人殺害などで死刑が確定していた白石隆浩・元死刑囚の死刑が執行されてから、およそ1年2か月ぶりの死刑執行である。

 その翌日の8月22日、死刑をなくそう市民会議アムネスティ・インターナショナル日本の主催で、「若者が考える死刑廃止——死刑廃止世界大会 in パリに参加して」が、東京の青山学院大学で開かれた。

 第9回死刑廃止世界大会がパリで6月30日〜7月2日に開かれた(詳しくは新倉修報告を参照)。

 はじめに、死刑をなくそう市民会議・共同代表世話人の中川英明氏が同世界大会の概要の報告をした後、同大会に若者大使として参加した学生による報告があった。報告したのは、慶應義塾大学大学院法務研究科1年生の崎浜空音(さきはま・そらね)さん、国際基督教大学4年生の本谷碧(ほんたに・みどり)さん、高校生のT・Mさんの3人。

 3人とも、世界各地で死刑廃止に取り組んでいる多くの人びと、とくに若い仲間たちと交流できたこと、当事者の生の声を聞いたことで、死刑制度を考えるにあたり、国際的な視野が広がったこと、死刑というテーマが他の人権問題と強くつながっていることなどを、あらためて自覚したという。そして、日本の死刑問題をめぐる状況を変えるために取りうる行動にとって多くの刺激を受けたと語った。

 他の人と違う意見をいうことが憚られたり、死刑問題を取り上げることがタブーとなっている教育現場、「死刑廃止」というだけでSNSでバッシングを受けるという状況にある日本社会で、それを跳ね除け、死刑廃止に向けて、社会に地道に働きかける活動を続け、次の世代へ繋げていきたいと決意を表明していた。

 今回死刑執行された高見さんの裁判に鑑定意見を書いた京都大学教授の高山佳奈子氏は来賓の挨拶で、最高裁は完全責任能力があったと判断したが、それは明らかに問題がある、死刑執行に対して非常に憤りを覚えると語った。そして、犯罪を犯す背景には、社会の貧困問題がある、そうした問題に対処しない高市政権に対してもきびしく批判した。

 同世界大会の詳しい内容については、当日配布された「第9回死刑廃止世界会議 報告書」に詳しい。

 中でも、マクロン仏大統領のスピーチには目を見張るものがある。フランスは、1981年に死刑廃止を実現した。マクロン仏大統領は、その歩みを「死刑廃止のための闘いは、『人間の尊厳』を守るための闘いである」「死刑廃止がまるで空気のように当然のことだと思うかもしれません。しかし、すべての『人権のための闘い』がそうであるように、これは絶え間ない闘争の結晶であり、いつでも覆るリスクをはらんでいるのです。だからこそ、皆様の闘いは不可欠なのです。民主主義社会にとって、この闘いは『自らの存在(レゾンデートル)』そのものである」と思想的背景を語る。

 なお、死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90は抗議声明を発表し、9月3日に東京都内で死刑執行抗議集会を予定している。

 そのほか、アムネスティ・インターナショナル日本日本弁護士連合会などは、それぞれ抗議声明を出している。

(2026年08月24日公開)


こちらの記事もおすすめ