
2026年1月8日に、「大崎事件」の原口アヤ子さんが、5回目となる再審請求を行う。鹿児島地裁に申立て後、鹿児島市内で報告集会を開く。東京でも「サテライト会場」が設けられる。
「大崎事件」は、1979年に鹿児島県の大崎町で男性(当時42)の遺体が見つかった事件で、殺人・死体遺棄容疑で長兄、次兄、次兄の息子、そして主犯格として、長兄の妻の原口アヤ子さん(当時52)が逮捕された。他3人は殺害や死体遺棄を自供させられたが、アヤ子さんだけは一貫して事件への関与を否定した。全員に有罪判決が言い渡され、アヤ子さんは控訴・上告するも、1981年に懲役10年の刑が確定して服役した。
アヤ子さんは一貫して無罪を訴え続け、服役後の1995年に第1次再審請求を行った。2002年3月、鹿児島地裁がアヤ子さんの再審開始を認めた。しかし、検察官が即時抗告を行い、福岡高裁宮崎支部は2004年に再審開始決定を取り消し、2006年に最高裁も再審請求を棄却した。
2010年から行われた第2次再審請求では、2013年に鹿児島地裁、2014年に福岡高裁宮崎支部、2015年に最高裁が、いずれも棄却決定を出した。
第3次再審請求において、2017年6月、鹿児島地裁は再び再審開始決定を出した。そして2018年3月、福岡高裁宮崎支部も検察官の即時抗告を棄却し、再審開始を維持する決定を出した。しかし、2019年、最高裁はこれを棄却した。
そして、2020年から始まった第4次再審請求では、2022年に鹿児島地裁、2023年に福岡高裁宮崎支部、2025年2月に最高裁が請求を棄却した。しかし、ただ一人、宇賀克也裁判官は、「再審開始決定を行うべき」という反対意見(9頁〜)を書いている。
このように、今まで4度にわたる再審請求の中で、再審開始決定が3回も出されているにもかかわらず、いずれも検察官の抗告によって取り消されてきた。逮捕当時52歳だったアヤ子さんは、現在98歳になっている。一刻も早い再審開始決定、無罪判決が望まれる。(詳しい経緯などは、鴨志田祐美『大崎事件は問いかける──これからの再審のかたち』 参照)
この度、1月8日に大崎事件第5次再審請求を申し立てるにあたって、原口アヤ子さんの再審無罪判決への応援を広く呼びかけるべく、弁護団からの報告や、ゲストによるパネルディスカッション、冤罪被害者らからの応援メッセージなど、大規模な集会が鹿児島で開催される。サテライト会場として、東京の会場とも中継される。
◯テーマ:今度こそ再審無罪を!再審法改正を〜大崎事件第5次再審請求報告集会〜
◯日時:2026年1月8日(木) 13:30〜16:00
◯会場
【鹿児島会場】
カクイックス交流センター(かごしま県民交流センター) 県民ホール(鹿児島市山下町14-50)※定員:550名
【サテライト会場(東京)】
弁護士会館2階講堂「クレオ」A (東京都千代田区霞が関1-1-3)※定員:150名
【Zoomウェビナーによるオンライン配信】
こちらに掲載される参加用リンクから参加 ※定員:1000名
◯申込み:不要
◯参加費:無料・どなたでも参加可
◯プログラム
1 開会挨拶
2 大崎事件弁護団団長からの挨拶………八尋光秀(弁護士)
3 今回の申立ての概要・決意表明………鴨志田祐美(大崎事件弁護団共同代表、弁護士)、泉武臣(大崎事件弁護団事務局長、弁護士)
4 第5次再審請求の概要と新証拠の説明………大倉得史(第5次再審請求の新証拠鑑定人、京都大学教授)
5 パネルディスカッション「あるべき再審法改正の姿とは」
【パネリスト】………周防正行(映画監督)、指宿信(成城大学法学部教授)
6 えん罪被害者・家族からの応援メッセージ………袴田ひで子(袴田事件えん罪被害者家族)、青木惠子(東住吉事件えん罪被害者)、西山美香(湖東事件えん罪被害者)
7 支援者の決意表明
8 アピール文朗読
9 閉会挨拶
◯チラシはこちら
◯主催:日本弁護士連合会
◯共催:鹿児島県弁護士会
◯お問合せ先:日本弁護士連合会人権第一課
TEL 03-3580-9954 FAX 03-3580-2896
(2025年12月25日公開)