2月13日から、第10回死刑映画週間始まる


 第10回を迎える死刑映画週間が、今年も2月13日から2月19日まで、「『差別と分断』のなかの死刑制度」と題してユーロスペース(東京・渋谷)で開催される。今回は『プリズン・サークル』(坂上香監督作品)、『8番目の男』(ホン・スンワン監督、2019年)など内外からの8作品が上映される。また、木村草太(憲法学者)、坂上香各氏などのゲストトークもある。

 『プリズン・サークル』は、島根あさひ社会復帰促進センターで行われている更生プログラムに参加する収容者(受刑者)を撮ったドキュメンタリーである。同施設は日本ではじめての官民協同の刑事施設で、先駆的な更生プログラムを実施している。このプログラムは、社会復帰を断つ死刑制度とは対極にある。社会復帰のために収容者同士が対話しながら、自己が犯した犯罪を見つめ直すことからはじまる。

 『8番目の男』は、2008年に韓国で導入された国民参与裁判とその陪審員がテーマの映画である。8番目は陪審員番号。証拠・証言・自白がすべて有罪を裏付けており、評議の結論は有罪に向かっていく。しかし、8番目の陪審員は有罪だとする確信がもてず揺れ動く。そこから評議は思わぬ方向に向かう。陪審員の有罪・無罪をめぐる議論は、『十二人の怒れる男』や『12人の優しい日本人』のそれに勝るとも劣らない。裁判長自身が説明した刑事裁判の原則に忠実に従う8番目の陪審員から受ける疑問に揺れ動くところが圧巻だ。

 他にも異色作が盛りだくさんである。お見逃しなく。

※上映作品紹介は、こちら
※緊急事態宣言の延長を受けて上映時間が当初の予定より変更になりました。ご来場の際には、ユーロスペースのホームページでご確認ください。

(2021年02月04日公開)


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