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「再審法改正」へ向け国会議員への働きかけを本格化/日弁連が院内集会

小石勝朗 ライター


 再審(裁判のやり直し)法制の拡充をめざして、日本弁護士連合会(日弁連)は2月2日、「再審法改正を求める院内集会」を東京・永田町の衆議院第1議員会館で開いた。再審請求審での証拠開示の制度化と検察官の不服申立て(抗告)禁止にポイントを絞り、冤罪事件にかかわる弁護士と冤罪被害者が現行制度の問題点や改正の必要性をアピール。日弁連は議員立法による法改正を想定しており、推進組織となる議員連盟の発足へ向けて国会議員への働きかけを本格化させる。

基調報告で再審法改正の必要性を説く鴨志田祐美弁護士=2022年2月2日、衆議院第1議員会館、撮影/小石勝朗。

「再審格差」の解消へ証拠開示の法制化を

 集会では、再審法改正に関する特別部会長の鴨志田祐美弁護士が「再審法の改正はなぜ必要か」と題して基調報告をした。再審についての刑事訴訟法の規定は戦前からほとんど変わっておらず19の条文しかないことや、近年の司法制度改革からも取り残されている状況に触れ、再審規定の整備の必要性を説いた。

 改正のポイントの1つに挙げた「証拠開示」では、布川事件や松橋事件のように検察や警察に埋もれていた証拠が再審開始~無罪確定の決め手になっているにもかかわらず、開示勧告をするかどうかは裁判所の裁量で、担当裁判官による「再審格差」が生じていると指摘。「裁判官のやる気によって冤罪が救われたり救われなかったりして良いのか」と法制化を訴えた。

 もう1つの「検察の抗告禁止」については、抗告が憲法39条の「二重の危険の禁止」に抵触するとし、検察は再審の公判で有罪の主張ができるので「再審請求の段階で抗告を繰り返す必要はない」と禁止するよう求めた。大崎事件では2002年以降、地裁と高裁で計3回の再審開始決定が出ながら、検察の抗告によって請求人が94歳になった今も再審が実現していないことや、戦前の刑訴法が影響を受けたドイツでは1964年に再審開始決定に対する検察の抗告が禁止されたことも紹介した。

「弊害はほとんど考えられない」

 元刑事裁判官の水野智幸弁護士(法政大学法科大学院教授)は、経験をもとに「裁判官は自らの誤りを認めることになる再審に消極的だ」としながらも、「個々の裁判官は規定があればやりやすいと考えている」と述べた。「検察官も同じ」として、検察が導入に後ろ向きだった取調べの録音・録画を今では捜査の適正さを示すために活用していることを例示した。

 再審制度拡充の弊害とされる点についても、①証拠開示を認める事件の振り分けを可能にすれば裁判所の業務はパンクしない、②証拠開示による証拠隠滅やプライバシー流出は通常審で生じていない、③誤りを是正する手段を確保してこそ裁判制度への信頼は高まる——として「弊害はほとんど考えられない」と分析した。そして、日弁連はすでに詳細な条文案(「刑事再審に関する刑事訴訟法等改正意見書(1991〔平成3〕年)」『日弁連第62回人権大会シンポジウム第3分科会基調報告』259頁以下)を作成しており、「整備の道筋はついている」との見解を示した。

櫻井昌司さんは再審法改正を「あなたの問題」と訴えた=2022年2月2日、衆議院第1議員会館、撮影/小石勝朗。

 布川事件で再審無罪が確定した櫻井昌司さんもウェブで参加し、「あなたが冤罪になった時に、こんな不十分な制度で良いのか。誰もが冤罪になる可能性があり、なって初めて冤罪の苦しさや制度の不備を知る。『あなたの問題』と訴えていく」と法改正へ力を込めた。

与党議員へのアプローチが課題

 集会には与野党の衆参国会議員が参加し、ウェブ参加の2人を含めて12人が挨拶に立った。再審法改正に賛同する声とともに、「与党へのアプローチを考えてほしい」との意見も寄せられた。特に自民党議員の賛同をいかに得るかが、今後の大きな課題になりそうだ。

 日弁連は、今国会中に有志議員による勉強会を開く計画を立てている。議員立法での法改正へ向け、推進する議員連盟の発足につなげたい考えだ。

◎著者プロフィール
小石勝朗(こいし・かつろう) 
 朝日新聞などの記者として24年間、各地で勤務した後、2011年からフリーライター。冤罪、憲法、原発、地域発電、子育て支援、地方自治などの社会問題を中心に幅広く取材し、雑誌やウェブに執筆している 。主な著作に『袴田事件 これでも死刑なのか』(現代人文社、2018年)、『地域エネルギー発電所──事業化の最前線』(共著、現代人文社、2013年)などがある。

(2022年02月07日公開) 


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