
9月9日(火)、日本弁護士連合会らは、取調べの可視化フォーラム2025「もしも録画がなかったら。カメラが見ていた取調べの実態」を開催する。
取調べの可視化(録音・録画)があったために、取調べの実態が法廷で明らかにされて、無罪や国賠訴訟で勝訴を勝ち取れた事件が最近多い。
たとえば、大阪のプレサンス事件は、上場会社の社長であった山岸忍さんが、共犯者とされた部下の供述を証拠に起訴された事件(業務上横領)であるが、部下に対する取調べを録画した映像には、怒鳴ったり、机を叩いたりして自白を迫る検察官の様子が記録されていた。裁判所は、部下の供述の信用性を否定し、山岸さんに対して無罪判決を言い渡した。
この事件では取調べを録画した映像があったが、刑事訴訟法によって録音・録画が義務付けられた事件は一部の事件に限られている。特に警察の行う取調べの大部分は今も“密室”のままである。
また、2025年7月24日、法務省「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」は、第21回会議が開催し、取りまとめを公表した。この協議会は、一部事件の取調べの録音・録画制度等を創設した改正刑事訴訟法(2026年)の見直しの検討のために、2022年に設置されたものである。
この取りまとめは、改正刑訴法の趣旨が十分に達成されているとは言えないという状況認識を示した上で、「政府において、取調べの録音・録画の対象範囲の拡大を含む制度改正や運用の見直し、その他刑事手続における新たな制度の導入について、新たな検討の場を設けて、具体的に検討を行うなど、所要の取組を推進することを強く期待したい」としている。
日弁連は、この取りまとめを受けて「新たに設置される会議体において、取調べに依存した捜査・公判の在り方を改め、えん罪を防止するために、取調べの録音・録画制度の対象の全事件・全過程への拡大のほか、供述しない意思を明らかにしている被疑者に対する取調べの規制、弁護人を取調べに立ち会わせる権利の保障、『人質司法』の解消、迅速な証拠開示を受ける権利の保障等を内容とする制度設計を進めることを求める」との会長声明をだした。
このフォーラムでは、取調べが録画されていなかった事件と比較しながら、取調べの録音・録画がなぜ必要なのか、改めて考え、全事件の取調べ可視化の実現を目指す。
◯日時:2025年9月9日(火)18:00〜20:00(開場:17:45)
◯開催方法:
【会場参加】先着250名
弁護士会館2階「クレオ」ABC(東京・千代田区)
【オンライン配信】Zoomウェビナー
◯参加費:無料
◯申込方法:要事前申込み。申込みはこちらから。
*申込期限:9月5日(金)
*会場参加は定員になり次第締め切る。
*オンライン配信の視聴リンクと配布資料は当日までにメールで案内。
◯プログラム:
【第1部 事例報告】
①プレサンス事件〜もしも録画がなかったら………山岸忍(株式会社プレサンスコーポレーション元代表取締役)、秋田真志(弁護士)
②佐賀出口国賠事件〜もしも録画があったなら………出口聡一郎(弁護士)
【第2部 パネルディスカッション】………山岸忍、秋田真志、出口聡一郎、趙誠峰(江口事件弁護人/弁護士)、栗林亜紀子(進行役、弁護士)
◯チラシはこちら。
◯主催:日本弁護士連合会、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会
◯問い合わ先:日本弁護士連合会 法制部法制第二課
TEL:03-3580-9944
(2025年08月22日公開)