刑事法学者有志、大崎事件最高裁決定に抗議する声明を発表


指宿信・成城大学教授
会見する指宿信・成城大学教授(2019年7月12日、東京・霞が関の司法記者クラブにて)。

 7月12日、刑事法学者有志が、「大崎事件第三次再審請求審最高裁決定に抗議し、再審制度の抜本的改革を求める刑事法学者の声明」を発表し、記者会見した。

 大崎事件について、6月25日、最高裁判所第一小法廷は、再審開始を認めた福岡高裁宮崎支部および鹿児島地裁決定を取り消し、再審請求を棄却する決定を言い渡した。声明は、この最高裁決定の判断に対して、その手続には「刑事司法制度の基本理念を揺るがしかねない重大な瑕疵が存在する」と強く批判し、再審手続の運用と再審制度の抜本的改革の必要性を訴えた。

 同声明は、最高裁の科学鑑定の手法などを批判した後、「再審制度は、誤判と人権侵害を救済するための制度である。このことからすれば、再審開始決定を覆すための職権発動は行うべきでない」。「3つの裁判体が再審の開始を認めた稀有な事案である。それにもかかわらず、再審が開始されず、高齢の請求人が残された時間と闘っているという現状は、異常な事態」と結論づけた。

 会見した指宿信・成城大学教授は「短期間に100名近い賛同人が集まったのは、決定の衝撃と、白鳥・財田川決定によって開かれた再審の門が再び閉じられるという危機感の表れだと思う。今後、研究者によるシンポや研究会を開催して、さらに最高裁決定を批判して行きたい」と語った。

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(2019年07月29日公開)


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