
来年2月1日、オンラインで第6回オンライン高校生文学模擬裁判選手権が開催される。現在その参加校を募集している。
今回の文学模擬裁判選手権では、夏目漱石『こころ』を題材に独自に作成した教材をもとに、参加校の高校生らが検察側・弁護側の立場の役になりきり、 立証・弁護活動を展開する。
文学模擬裁判は「国語とは言葉を通して人間を考える教科」であるという理念から、龍谷大学の札埜和男教授が開発したユニークな模擬裁判。法的思考力や刑事裁判の意義の理解にとどまらず、人間や社会を考える眼差しについて深めることをねらいとした法教育のイベントである。
参加校は決められた時間に従い、立証・弁護活動を行い、審査員がそれらの内容を評価して、その総合点で勝敗を決める。読解力、人間や社会への洞察力、論理性、表現力等の視点から採点し、総合点の高い順から優勝校・準優勝校・第3位を決め、法廷ごとにMVPを選出する(予定)。
今回の文学模擬裁判の狙いについて、実行委員長の札埜教授はつぎのように語る。
「夏目漱石の『こころ』といえば、高校生であれば誰もが学ぶ〈国民的な小説〉でした。しかし『でした』と過去形で表現するように、改訂学習指導要領に伴う高校国語科の科目再編により、必ずしも全員が学ぶ小説ではなくなっています。大学の文学部でさえ、『こころ』を読んだことがない学生が入学する時代になりました。だからこそ、あえて文学模擬裁判のモチーフとして採り上げる意義があると考えます。ただ、内容として一人称による心理描写で話が進むので、文学模擬裁判の教材としては非常にリライトしにくいものです。また争点は『自殺教唆罪』が成立するか否かですが、自殺教唆罪自体が現実の事件にはほとんどありません。いろいろな意味で難しさを伴う分、法的思考力を駆使しつつ、原作を読む以上に、じっくりと『人間とは何か』、『人間の存在や罪とは何か』について思索を巡らせたり、『愛』といった新しい概念が生まれた『明治』という時代性を学び、『令和』という時代を考える機会になればと考えます」。
◯テーマ:第6回オンライン高校生文学模擬裁判選手権
◯日時:2026年2月1日(日)9:30〜17:00
◯会場:ZOOMによるオンライン(参加者は自宅等から出場)
◯費用:参加費は無料
◯申込締切:先着順にて受付(最大10校程度)
◯募集要項:チラシを参照。
◯問合わせ・申込み先:
〒600−8268 京都市下京区七条大宮東入大工町125−1
龍谷大学大宮キャンパス西黌129号室 札埜研究室宛
TEL. 075−343−3326(研究室直通) Eメール:fudafuda@let.ryukoku.ac.jp
◯主催:龍谷大学札埜研究室オンライン高校生文学模擬裁判選手権実行委員会
◯後援:龍谷大学国際社会文化研究所(札埜プロジェクト)、 一般社団法人刑事司法未来、龍谷大学法情報研究会、京都 教育大学附属高等学校模擬裁判同窓会、株式会社TKC、 刑事弁護オアシス
【参考文献】文学模擬裁判については、札埜和男『文学模擬裁判のつくり方』(清水書院、2025年)を参照。
(2025年10月09日公開)