日本弁護士連合会は、6月16日、「人権擁護委員会再審法改正に関する特別部会」を発展的に解消し、「再審法改正実現本部」を設置した。本部長は小林元治日弁連会長が務める。同会長は、4月6日の会長就任後の初の記者会見で、再審制度をめぐり「検察は証拠を必ず出し、再審開始決定が出たら不服申し立てをしないという内容の刑事訴訟法改正が必要だ」と法改正に取組む決意を語っていた(日経新聞4月7日)。その実現に向けて日弁連が本格的に動き出したといえる。
刑事訴訟法には、再審の規定は19箇条しかない。開示された検察の未提出記録は再審開始の決め手になる可能性があるが、未提出記録の開示について規定がないため、開示させるかどうか裁判所の裁量に委ねられている。そのため、裁判官による「再審格差」が生じていると批判されている。
また、日弁連が支援している大崎事件の再審請求では、3度の再審開始決定があったにもかかわらず、検察の不服申し立て(抗告)で判断がくつがえされ、再審請求に長い年月がかかっている。
こうした再審制度が抱える制度的・構造的欠陥を是正し、冤罪被害者を一刻も早く救済するため、日弁連は次の点に重点をおくとしている。①再審請求手続における全面的な証拠開示の制度化の実現、②再審開始決定に対する検察官による不服申立て(抗告)の禁止──を求める。
日弁連は、1959年以降、再審支援活動に取り組み、これまでに34件の再審事件を支援し、免田事件など18件の再審無罪判決を獲得している。
なお、日弁連の再審法制に関する取り組みをコンパクトにまとめたものに、『隠された証拠がえん罪を晴らす──再審における証拠開示の法制化に向けて』がある。
(な)
(2022年06月21日公開)