4月15日と20日、NHKが「誰のための司法か〜團藤重光 最高裁・事件ノート〜」を放送/大阪国際空港公害訴訟の審理の内幕を明かす


 龍谷大学矯正・保護総合センターでは、設立当初から「團藤文庫研究プロジェクト」を立ち上げ、同学所蔵の團藤文庫を用いて様々な調査研究活動をおこなっている。この度、NHKとの共同研究の成果が結実し、ETV特集の番組として放映される。

 航空機の騒音に苦しむ住民が夜間の飛行停止を求めた「大阪国際空港公害訴訟」。公害で初めて国の責任が問われた重要な裁判である。元最高裁判事・團藤重光氏が記したノートの中から、最高裁での審理の内幕を明かす資料が見つかった。

 「大阪国際空港公害訴訟」は1975年、二審大阪高裁で原告住民が勝訴し、夜間飛行の差し止めと損害賠償が認められた。しかし1981年、最高裁は飛行差止めを求めた住民の訴えを退ける判決を言い渡した。

 團藤氏のノートが明らかにするのは、最高裁小法廷が当初「飛行差し止め容認」の結論を固めていたという意外な事実である。ではなぜ結論は覆ったのか。「裁判所に救済を求める道をふさいではならない」として多数意見を批判した團藤氏。関係者の証言や資料をもとに、遺されたノートを読み解き、裁判の内実に迫る。

 刑法学の第一人者として、東大教授を経て最高裁判事になった團藤重光(だんどう・しげみつ)氏は、人権を重視し「反対意見」「少数意見」を数多く表明したことで知られている。2012年の死去後、10万点近くの資料が同センターに寄贈された。

○NHKEテレ1・東京 ETV特集「誰のための司法か〜團藤重光 最高裁・事件ノート〜」
 ・4月15日(土)午後11時〜午前0時(60分)
 ・4月20日(木)午前0時〜午前1時(60分) 再放送

(2023年04月14日公開)


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