丸井英弘弁護士が逝去/大麻取締法に対して真正面から闘った


丸井英弘弁護士の葬儀は無宗教の形式で行われた。同弁護士は、生前「若い弁護士にもどんどん大麻事件を争ってほしい」と期待していた(2025年12月14日、東京・国分寺の斎場にて。撮影/刑事弁護オアシス編集部)

 大麻取締法の違憲性を訴え、数々の大麻事件で弁護活動を担ってきた丸井英弘(まるい・ひでひろ)弁護士が、2025年12月7日に逝去された。趣味の吹き矢を練習中の心筋梗塞であった。享年81歳。12月14日、告別式が東京・国分寺の斎場で営まれた。

 丸井弁護士は、1944年に愛知県に生まれる。地元の中学校、詫間電波高校を卒業後、国際基督教大学教養学部に進学し、憲法を学ぶ。1974年に弁護士登録(26期)。弁護士としての活動を始めて2年目に出会った、アメリカ人青年の大麻事件を契機として、以降50年にわたって大麻取締法の違憲性を訴え続けてきた。著作に、『健康大麻という考え方——もうやめよう嘘と隠しごと』(共著、ヒカルランド、2017年)がある。

 近年では、大麻草に対する刑事規制の撤廃と大麻草の有効活用推進のために活動する任意団体・クリアライトの代表理事に就き、大藪大麻裁判柴﨑大麻裁判を担当した。両裁判はそれぞれ、上告審と控訴審を控えていた。

 また、YouTubeチャンネルや講演会での講義、音楽バンド等を通じて、法廷以外でも大麻規制の緩和や大麻草の活用について広く発信を行った。

 告別式では、クリアライト副代表理事・長吉秀夫さんと、同副代表理事で大藪大麻裁判の当事者・大藪龍二郎さんがお別れの言葉を述べた。

 長吉さんは、「丸井先生は、周りを気にして主張を緩めたり、妥協したりすることは絶対にしなかった。大麻草について多くを教わってきたが、生き方そのものも教わったと思う」と感謝を語った。大藪さんも、「丸井先生は大麻の取締りについて一貫して真正面から闘ってきた。勇ましくて武士のような人だった。本当にありがとうございます」と別れを惜しんだ。

 丸井弁護士と親交のあった張ヶ谷毅さんらも、ゆう琴の演奏で哀悼の意を表し、それに続いて参列者の焼香が行われた。

 祭壇には大麻草の茎を加工した精麻が供えられ、大藪さんと柴﨑さんの法螺貝、張ヶ谷さんの篠笛の音で見送られた。大麻草に携わり、丸井弁護士を慕ってきた方々による、温かい告別式であった。

 丸井弁護士は生前「若い弁護士にもどんどん大麻事件を争ってほしい」「そのための勉強会を企画したい」とおっしゃっていた。かたちにすることが叶わず、残念でならない。弁護士の方にもそれ以外の方にも、大麻規制のあり方に関心を持っていただけるよう、これからも大麻裁判などについての発信を続けていかなければならない。

(お)

(2025年12月22日公開)


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