
2月1日(日)、第6回オンライン高校生文学模擬裁判選手権が、全国から13校(12チーム)が参加して、オンラインで行われた。優勝校は中央大学杉並高校で、昨冬の第5回選手権、昨夏の第5回交流戦の優勝と3季連続優勝を成し遂げた。準優勝は早稲田(早稲田実業・早稲田大学高等学院連合チーム)で、2季連続だった。3位は創志学園で2年連続であった。
大会を主催した龍谷大学文学部の札埜和男氏は、つぎのように大会を振り返った。
「今回のモチーフは夏目漱石『こころ』で、争点は自殺教唆罪が成立するかどうか。心理描写中心の小説であるので、どの学校も内面の動きをどう立証するか頭を悩ませたようである。
午前中を終えた時点で首位は早稲田。中大杉並は入賞圏外だったが、午後は底力を発揮、裁判長役から『こんなにきれいな主尋問は久しぶりに見た』と言わしめるくらいの出来栄えで、逆転優勝を果たした。森村学園は惜しくも2年連続の入賞はならなかった。
神戸海星で証人・被告人役を演じた川上理桜(かわうえ・りお)さんは3季連続のMVPの受賞という快挙だった。過去中大杉並と日本一を争うなど名勝負を繰り広げてきた神戸女学院は午後中大杉並と再戦、弁論が光った。2年ぶり出場の宮城野は入賞こそならなかったが、力を伸ばしていることがわかる試合であった。麗澤、東京学芸大学附属国際は初出場、旭川東は2年連続、洛星は2季連続の出場、是非今回の経験や蓄積を活かして、次大会での活躍を期待したい」。
大会後、離島から参加した壱岐高校の担当(国語科)教員からメールが札埜氏あてに届いた。
「結果も大事だが、それ以上に文学模擬裁判を通じて何を学んだか、どんな成長が見られたか、のほうが重要である。メールは主催者として心打たれる内容であった。今回壱岐を訪れ直接指導したが、一人一人の表情が思い浮かんだ。要約を紹介することで本大会の報告のまとめとしたい」。
(以下、壱岐高校の担当教員からのメールの要約)
「生徒たちが自走して資料に向かい、自分たちで模擬裁判のデモンストレーションをしたり、お互いにアドバイスをし合ったりする姿を見て、これが『教育の目指す姿』だと強く感じておりました。(中略)レベルとしては他校の比にならないくらい低かったかもしれません。しかし、最後まで法廷から逃げなかった。苦しみながら焦りながらも資料も確認し、どうにかこうにか自分の言葉で絞り出した発言に、あの態度に私は価値を感じます。この場がなければ、あんなに必死になる姿を見ることはできなかったのではないかと思います。新たな一面を見ることができたこの模擬裁判は、素晴らしい取り組みだと心から感じています。私自身、たくさんの反省と発見がありました。本当に有難うございます。札埜先生をはじめ、多くの先生方のお話を聞いたり、他校の生徒さん方の様子を見て、壱岐高校の生徒たちは自分たちがいかに普段から何も考えていなかったのかと感じたようでした。それを恥ずかしいと思うとも話していました。自分を客観的に見る、という一つの学びであったとも感じます。学校の授業だけでは得られない体験であったと思います。(中略)本当に本当に参加してよかったです(後略)」。
*壱岐高校は最下位ではなかったことを付記しておく。
◯出場校(五十音順)
神⼾海星⼥⼦学院⾼等学校(兵庫県)
神⼾⼥学院⾼等学部(兵庫県)
創志学園高等学校(岡山県)
中央大学杉並高等学校(東京都)
東京学芸大学附属国際中等教育学校(東京都)
長崎県立壱岐高等学校(長崎県)
北海道旭川東高等学校(北海道)
宮城県宮城野高等学校(宮城県)
森村学園高等部(神奈川県)
洛星高等学校(京都府)
麗澤高等学校(千葉県)
早稲田実業学校高等部(東京都)
早稲田大学高等学院(東京都)
◯主催:龍谷大学札埜研究室オンライン高校生文学模擬裁判選手権実行委員会
◯後援:龍谷大学国際社会文化研究所(札埜プロジェクト)、 一般社団法人刑事司法未来、龍谷大学法情報研究会、京都教育大学附属高等学校模擬裁判同窓会、株式会社TKC、 刑事弁護オアシス
【参考文献】文学模擬裁判については、札埜和男『文学模擬裁判のつくり方』(清水書院、2025年)を参照。
(2026年02月11日公開)