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『現代日本刑事法の基礎を問う』 [笑うケースメソッドⅢ]


 基礎法中の基礎法、ローマ法の専門家である木庭顕さんがなぜ刑事法、しかも現代日本の? おそらく多くの方がそう思われるでしょう。

 映画や戯曲をもとに中高生相手の講義を行った『誰のために法は生まれた』(朝日出版社)を出版し、今年の朝日賞を受賞してすっかり一般読者にも有名になった木庭さんの仕事は、ローマ法を説きつつも、現代日本社会ならではの問題を根本からえぐり出します。だからこそ入門的位置づけとなる著作『新版ローマ法案内』(勁草書房)の副題が「現代の法律家のために」なのです。

 そんな木庭さんの[笑うケースメソッド]シリーズは、有名民法判例を取り上げて議論する民法篇からスタートしました。次の公法篇では憲法・行政法の判例が俎上にあがります。三部作完結となる刑事法篇の本書は当然、刑法・刑訴法の判例をめぐって学生たちの対話が繰り広げられています。もちろんどれも日本の判例です。

 刑事法篇は、公法篇とのつながりが強く、補完関係にあります。キーワードは「政治システム」。さらなる理由はぜひ本書でご確認いただきたいのですが、「身体」という現代の刑事手続でも欠かせない視点が登場してきます。そして、目次をご覧になるとわかるとおり、具体的なトピックとして最初に死刑をまず取り上げることからも、その根本に向かう姿勢を感じられるはずです。

 現実の事件を考えるうえで「なぜそこに問題があるのか/なにが問題なのか」という基礎的な問いの涵養となる1冊です。

 勁草書房編集部ウェブサイト「けいそうビブリオフィル」にて、「はしがき」「おわりに」に加えて「0 予備的討論」「1 死刑」「7 未遂」の冒頭部分を公開中(https://keisobiblio.com/2019/07/16/atogakitachiyomi_waraucase3/)。


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